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黄輪雑貨本店 新館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

    「あらすじ」紹介ページ

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    • はじめてこのブログに来たので何から読んでいいかよく分かりません!」と言う方へ。
      当ブログ最大量の長編小説、「双月千年世界」へは、こちらのページから各目次へ飛ぶことができます。
      その他の小説については、一度トップページに戻ってから、右の方にある目次を選んで下さい。

    • 目次は連載順に表示されています。「何が何だか分からないけどとりあえず最初から読んでみたい!」と言う方は、
      一番上の「蒼天剣」から読んでいくことをおすすめします。

    • 久々に来たけどどんな話かすっかり忘れた!」と言う方、
      ざっくり説明聞いてから本編を読んでみたい……」と言う方のために、各部にあらすじを設けています。
      各部(『第1部』とか『第2部』とか)にあらすじへのリンクを張っているので、そこから見てみて下さい。


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    緑綺星 目次

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「緑綺星」地図(作成中……)

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    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝(2019年版)
    双月世界の戸籍

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    1話目から読みたい方はこちら



    緑綺星・底辺譚
    1 2 3 4
    緑綺星・福熊譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    緑綺星・応酬譚
    1 2 3 4 5 6 7 8
    緑綺星・聖怨譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
    緑綺星・国謀譚
    1 2 3 4 5 6 7
    緑綺星・機襲譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
    緑綺星・建国譚
    1 2 3 4 5 6

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    第1部;猫報譚~白闇譚
    第2部;狼嬢譚~宿命譚
    第3部;奇家譚~震世譚
    第4部;底辺譚~建国譚

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    キャラ紹介;黄大姐

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。

    名前黄思白 / ホァン スーバイ / Huáng sībái
    性別・種族女性 / 猫
    特徴髪:藍、瞳:金 耳・尻尾:白・茶・黒の三毛
    所属黄大姐珈琲店 店長 / 中国の大企業グループの偉い人(兎倉さん談)
    担当業務店舗運営、他に手掛けている事業に関連した試験販売とマーケティング
    趣味若い子とお話すること
    最近の悩み月一で故郷からお見合い話が来ること
    会長(祖父)からの嫌味你应该学会如何与大人相处,而不是捉弄孩子。
    (若い子をからかってないで、大人の付き合いを覚えろ)

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    2024年5月携帯待受

    携帯待受

    MAZDA SAVANNA RX-7(FC3S)

    MAZDA SAVANNA RX-7(FC3S)

    MAZDA SAVANNA RX-7(FC3S) MAZDA SAVANNA RX-7(FC3S)

    2024年5月の携帯待受。
    マツダの'85年式サバンナRX-7 GT-R。

    3年前の待受と何が違うの?」とお思いの方、ツッコんだ方に一言。
    僕もそう思いました。

    調べてみたところ、このFC型RX-7の、発売当時に設定されていたグレードは以下の5つ。
    「GT」……最廉価版。
    「GT-R」……基本グレード。
    「GT-X」……スポーツ仕様。
    「GT-Limited」……高級グレード。
    「GT-Limited スペシャルエディション」……最高級グレード。
    どうやらこの頃のマツダも、「GT」と言う単語には特別な意味を持たせておらず、
    むしろその後に続くアルファベットや単語に意味があったようです。
    「GT-R」のRも、「Racing(レース仕様)」のRではなく「Regular(通常版)」のRだったようです。
    各グレードともエクステリア上の大きな違いはないらしく、
    調べても「GT-R」と「GT-Limited」に差異は見受けられませんでした。
    なので3年前の素材をそのまま流用する形で、今回制作することとなりました。
    3年前のものとは、背景がちょっと違う程度です。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、
    毎月上旬~中旬頃にX(旧twitter)にてアンケートを行う予定です。
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    キャラ紹介;兎波さんと兎倉さん

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    名前兎波純・兎倉恵 / となみ じゅん・とくら けい / Jun Tonami & Kei Tokura
    性別・種族女性 / 兎
    特徴髪:茶、瞳:赤/青 耳・尻尾:黒
    所属黄大姐珈琲店 店員
    担当業務レジ、調理、接客、清掃
    共通の趣味結婚情報誌を読みつつおしゃべり
    最近の悩み店長からお見合い話を丸投げされること
    お客さんから良く言われる一言どっち?

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    クルマのドット絵 番外編;そのうち小説に登場させる予定のクルマ

    クルマのドット絵

    「緑綺星」に登場する(予定の)クルマ。

    COROMO VULPES RS phase2(2023Aprilfool)

    COROMO VIOLA RS(2024Aprilfool)

    COROMO VULPES GT-R(2024Aprilfool)



    以下、上から順に(妄想上の)主要諸元。

    名称:コロモ ヴォルペ RS.II
    全長*全幅*全高:4240*1780*1450mm
    ホイールベース:2580mm
    レイアウト:FR
    車重:1180kg
    排気量:1.598L(N/A)
    最高出力:140kW(190PS)/6500rpm
    最大トルク:260N・m(26.5kgf・m)/3500rpm

    名称:コロモ ヴィオラ RS
    全長*全幅*全高:4410*1850*1390mm
    ホイールベース:2760mm
    レイアウト:FR
    車重:1480kg
    排気量:1.997L(N/A)
    最高出力:260kW(352PS)/6500rpm
    最大トルク:370N・m(37.7kgf・m)/3500rpm

    名称:コロモ アルテマ GT-R
    全長*全幅*全高:4480*1870*1290mm
    ホイールベース:2490mm
    レイアウト:MR
    車重:1790kg
    排気量:3.799L(ツインターボ)
    最高出力:353kW(480PS)/6800rpm
    最大トルク:590N・m(60.1kgf・m)/3500rpm

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    キャラ紹介;深草円

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    名前深草円 / ふかくさ まどか / Madoka Fukakusa
    性別・種族女性 / 狐
    特徴髪:茶、瞳:金 耳・尻尾:白、先端に銀
    所属TamakiFukakusa-GRAPHICS.co.,Ltd. 常務取締役
    担当業務営業、経理、渉外など多数
    趣味クルマの運転、テレビゲーム
    特技ブレーキングドリフト
    苦手なこと料理、細かい手作業
    社長(お母さん)の一言紅ちゃんに迷惑かけんときや?

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    2024年4月携帯待受

    携帯待受

    TOYOTA CARINA 1600GT-R(AA63)

    TOYOTA CARINA 1600GT-R(AA63)

    TOYOTA CARINA 1600GT-R(AA63) TOYOTA CARINA 1600GT-R(AA63)

    2024年4月の携帯待受。
    トヨタの'83年式カリーナGT-R。

    日産と違い、トヨタはグレード名に「GT」を安易に冠する傾向があります。
    カローラにもスプリンターにもセリカにもソアラにもMR2にも86にも。
    '70年代~'00年代くらいを探して回れば、
    GTグレードを持つトヨタ車を山のように見付けられるでしょう。

    とは言え本来「GT」とは「Grand Touring」、
    すなわち長距離走行に耐える性能を持つクルマであることを示す略語。
    日本の全自動車メーカーで最も厚い信頼のあるトヨタだからこそ、
    どんな車種にも堂々とGTグレードを冠することができたのでしょう。

    だからと言ってトヨタはGTの名に、
    単に「頑丈なクルマ」と言うだけの意味を込めていたわけではありません。
    前述したカローラやスプリンターには「GT-APEX」、MR2やセリカには「GT-S」など、
    スポーツモデルにはGTに付加する形でグレードが設けられていました。
    そしてこのカリーナにも「GT-R」グレードが設定され、
    同年に発売された「ハチロク」ことカローラレビン・スプリンタートレノと共に高い人気を博しました。



    なお、車名「カリーナ」の由来は「りゅうこつ座」から来ています。
    このりゅうこつ座、元をたどればギリシャ神話に登場する帆船、アルゴ号が由来となっていますが、
    この船はとある事情から「金羊毛」、黄金の羊の羊毛を求める旅に出ます。
    と言うことで大きさ比較用のどうぶつは、金色の羊にしました。

    狼に狩られそう……。



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    キャラ紹介;猫藤雛

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    名前猫藤雛 / みょうどう ひな / Hina Myodo
    性別・種族女性 / 猫
    特徴髪:桃、瞳:緑 耳・尻尾:茶、先端に白
    所属高等部 X年C組
    得意科目家庭科、保険体育
    苦手科目現代文、古文、日本史
    趣味筋トレ、野球観戦
    特技速球(最高記録149km/h)、変化球(フォーク、スライダー)
    先生の一言赤いの大好き二刀流エース。

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    キャラ紹介;夜狼奈々

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    名前夜狼奈々 / やがみ なな / Nana Yagami
    性別・種族女性 / 狼
    特徴髪:青、瞳:紫 耳・尻尾:銀、先端に白
    所属高等部 X年B組
    得意科目数学、物理、化学、英語
    苦手科目古文 、日本史、世界史
    趣味カラオケ、コスプレ(ミリタリー系)
    特技大声を出すこと(最高記録122db)
    先生の一言困った子を放っておけないツンデレ系委員長。

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    キャラ紹介;虎海雅

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    名前虎海雅 / とらみ みやび / Miyabi Torami
    性別・種族女性 / 虎
    特徴髪:金、瞳:橙 耳・尻尾:橙に茶縞
    所属高等部 X年B組
    得意科目全科目
    苦手科目なし(学年総合1位)
    趣味ミリタリー品収集、サバイバルゲーム
    特技アサルトライフルの解体&組立(最高記録58秒)
    先生の一言サバゲ大好きお嬢様。文武両道フィジカルおばけ。

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    2024年3月携帯待受

    携帯待受

    NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC110)

    NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC110)

    NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC110) NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC110)

    2024年3月の携帯待受。
    日産の'73年式スカイラインGT-R。

    先代、C10型スカイラインの成功を引き継ぐべく、日産は同車種をフルモデルチェンジ。
    よりスポーティかつ高級感をまとわせて設計された新型、C110型スカイラインは、
    当時のCMキャラクター「ケンとメリー」にちなみ「ケンメリ」の愛称で親しまれ、
    歴代スカイラインの中では最も多い販売台数を記録しました。
    この人気に乗るべく、このモデルにも最上級モデル、
    「GT-R」KPGC110型が投入されることとなります。

    ところがGT-R投入と時を同じくして、昭和48年排出ガス規制が施行。
    自動車の排ガス量に対して厳しい規制が設けられた結果、
    KPGC110に搭載されていたエンジン、S20型はこの規制をクリアすることができませんでした。
    これを受けて日産は、GT-Rモデルの生産を中止。
    C110型自体は'77年まで生産が続けられ、最終的に販売台数67万台を達成したものの、
    GT-Rモデルはわずか197台の生産に留まりました。

    加えてこの時代、オイルショックに端を発する不況に見舞われ、
    長らく続いていた高度経済成長時代は終焉。
    高級モデルの売れ行きが低迷したためか、日産はこの後、
    '89年までGT-Rモデルを設定することはありませんでした。



    大きさ比較用として横に立たせているどうぶつ。
    日産のGT-Rモデルについては、すべて「狼」をモチーフにすることを予定しています。
    今回も「狼」の女の子。この子を描くために、「ケンとメリー」のCMをYoutubeで視聴しました。



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    キャラ紹介;富士見柚子

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    名前富士見柚子 / ふじみ ゆうこ / Yuko Fujimi
    性別・種族女性 / 狐
    特徴髪:銀灰、瞳:緑 耳・尻尾:金、先端に茶
    所属高等部 X年B組
    得意科目国語、英語、数学、化学
    苦手科目体育
    趣味アクセサリ収集
    特技気付かれないようこっそり忍び寄って驚かす(ただし旅岡さんには何故か全敗……)
    先生の一言優しくて努力家。体が弱くて、体育科目に若干の難あり。

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    キャラ紹介;大江双葉

    今日の旅岡さん

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。
    前回予告していた通り、今回は大江さん。


    名前大江双葉 / おおえ ふたば / Futaba Ooe
    性別・種族女性 / 長耳
    特徴髪:金、瞳:水
    所属高等部 X年B組
    得意科目国語、英語、歴史
    苦手科目物理
    趣味ゲーム、ウインドウショッピング
    特技口喧嘩(無敗)
    先生の一言見た目はクール、中身はガーリー。現代文はコンクール級。

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    キャラ紹介;旅岡紅子

    今日の旅岡さん

    初めて「今日の旅岡さん」を投稿してから5年近くが経とうと言うのに、
    ちゃんとしたキャラ紹介をやっていませんでした。
    と言うわけで今回、改めて紹介することにします。


    名前旅岡紅子 / たびおか べにこ / Beniko Tabioka
    性別・種族女性 / 短耳
    特徴髪:赤、瞳:青
    所属高等部 X年B組
    得意科目家庭科
    苦手科目英語、物理、化学
    趣味料理、ねこをモフモフすること
    特技料理の隠し味を当てること
    先生の一言ご飯は食べるのも作るのも大好き。できるけどやらない系。

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    顔アイコン;天狐(2回目)

    双月千年世界

    ゲーム実況動画の展開で急遽欲しくなって描いた、天狐ちゃんアイコン。




    今回使ったのは1つだけですが、
    今後もしまた登場の機会があった時のために、差分もちゃんと追加しています。

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    2024年2月携帯待受

    携帯待受

    NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC10)

    NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC10)

    NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC10)  NISSAN SKYLINE GT-R(KPGC10)

    2024年2月の携帯待受。
    日産の'70年式スカイラインGT-R。

    「スカイライン」は元々、プリンス自動車が製造していた車種。
    しかしこのプリンス自動車が経営難に陥ったため、日産自動車に合併吸収されることになりました。
    この時、元々プリンスが販売していた車種の多くはそのまま日産に引き継がれており、
    スカイラインもこの一つでした。

    技術面で秀でていたプリンス自動車はモータースポーツでも結果を残しており、
    スカイラインはその筆頭として猛威を振るっていました。
    日産に合併された後も、プリンスのワークスチームはそのまま日産チームとして活動を続けることとなり、
    当然、スカイラインも日産のモータースポーツ活動の中核として存在し続けました。



    日産との合併後、改めて「日産の」スカイラインとして開発・販売されたこのクルマも、
    モータースポーツへの投入を前提として製造されており、
    ホモロゲーション(レース出場資格)獲得のためのモデル、「スカイラインGT・レーシング仕様」を発表。
    これが後のスカイラインGT-Rの原型となりました。
    こうして満を持して登場したスカイラインGT-Rは、日本中のレースを総なめにする大活躍を見せました。

    なお、プリンス時代からのスカイラインのキャッチコピーは「羊の皮を被った狼」。
    と言うわけで大きさ比較用のどうぶつは、羊の皮(ウール製ジャケット)を被った狼にしています。



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    オシャレはガマンやで~

    今日の旅岡さん



    お正月、円さんと大江さんは連れ立って初詣に来ていた。
    寒空の下、お守りを買うための列に並ぶ二人の間を、寒風が吹き抜けていく。

    大江「ひぇ……寒いや」
    円「なんや、寒がりやな。コートもマフラーも手袋さんもしとるのに」
    大江「いや、今日は特に寒いって。最高気温4℃って言ってたし」
    円「全然行ける行ける。子供は風の子元気の子やで」
    大江「もうそんな歳じゃないって……。
    ってか、あんたの家系って冬にむちゃくちゃ強いよね。
    紅も家にいる時、ロングT一枚でうろうろしてるし。
    あたし絶対冬にミニスカ穿こうって思わないもん」
    円「オシャレはガマンやで~」



    自信満々に言いきった円さんを眺めながら、
    大江さんは内心、納得行かない気持ちを抱えていた。

    大江(オシャレ……って言っても円って毎回、ビタミンカラーかヒョウ柄なんだよなぁ。
    オシャレってもっとこう……上品な感じって言うか……清楚って言うか……)

    と、大江さんの視線に気付いたらしく、円さんが大江さんの顔を覗き込む。

    円「ん? どないしたん?」
    大江「ううん、なんでもない」

    円さんの美意識には懐疑的ではあったが、それ以外には特に不満もなかったので、
    大江さんはにこっと笑ってごまかしておいた。

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    2024 あけましておめでとうございます

    雑記



    明けましておめでとうございます。
    旧年中は大変お世話になりました。
    本年もよろしくお願いいたします。

    例年通り、新年のご挨拶としてドット絵イラストを掲載します。
    いつもならクイズ形式で、ここがどこの駅かを当ててもらうのですが、
    今回はとあるゲームを元にした架空の駅であるため、
    答えは今回掲載するショートショートの中でお知らせします。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    「……?」

    ねこ車掌が目を覚ますと、そこはどうやら地下鉄の通路のようだった。……が、日本中のあっちこっちの駅を回ってきたねこ車掌をもってしても、その通路がどこの駅のものなのか、よく分からない。と、案内板を見つけたねこ車掌は、近隣施設からどこの駅なのかを推理しようとした。

    案内板にはこう書かれていた。
     出口
     0→


     貴船神社
     Kibune Shrine

     叡山電鉄鞍馬線
     貴船口駅
     Kibuneguchi Sta.

     鞍馬小学校
     Kurama Elementary
     School


    「……なぅ~???」

    ねこ車掌は鉄道に関してはねこらしからぬ聡明な頭脳を持っていたものの、結果としてこの案内板に対し、エラーを導き出した。
    ねこ車掌の知る限り、貴船神社の最寄り駅と言えば叡山電鉄鞍馬線貴船口駅だ。しかしここが貴船口駅なら、案内板の行き先に書いてあるはずがない。

    「……なーん……」

    不気味なものを感じたねこ車掌は思わず、その場から駆け出していた。
    そのためねこ車掌は案内板のとなりにあった注意書きを、ちゃんと確認していなかった。

    【ご案内 Guide】
     異変を……
     ...anomalies...
     ……見つけたら……
     If you finds...
     ……見つからなかったら……
     If you don't find...

     関係者以外は8番出口を使用しないこと
     DO NOT to go out from exit 8,
     it's authorized personnel only.




    長い長い地下通路をひた走り、ふとねこ車掌は上を向く。案内板が視界に映った。「8→」と書かれており、その先はほんのり、明るく見えなくもない。

    「うなぁ~……」

    ここが出口だろうかと安堵しつつ、ねこ車掌は前足を一歩、踏み出した。
    「……京都市営地下鉄貴船神社駅をご利用いただき……ありがとうございます……」
    と――アナウンスが地下通路に響き渡る。
    「ご案内いたします……」
    だが、その声には機械を通したような合成感がない。
    「正面そのまま……左折せず……お進みいただき……」
    耳のいいねこ車掌は気付いた。声は自分のすぐ、真後ろから聞こえている……!
    「そのまま……0番出口より……」
    ねこ車掌は振り向いてしまう。そこにいたのは――逆光に加え、目には自信がないねこ車掌なので、はっきりとは分からなかったが――とても大きくて長くてツノのある、神々しい何かだった。
    ねこ車掌はばっと身を翻し――左にあった階段には上らずに――直進していった。



    「……なん?」
    ふと気がつくと、そこはいつも自分が道行く人にエサをおねだりしている商店街だった。後ろを振り向いてみたが、ただの壁しか、そこにはなかった。
    「ふぎゃ……っ」
    パニックを起こし――かけたところで、ひょい、と後ろから抱っこされる。

    「うわ……どないしたんよ、そんな息ハァハァしよって」
    いつも聞く女の子の声だ。
    「肉球さんもべっちゃり汗かいとるやん。何や嫌なことでもあったんかー?」
    「……うな~ん!」
    心の底からほっとしたねこ車掌は、女の子の腕の中でどろりと脱力したのだった。

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    クルマのドット絵 その95

    クルマのドット絵

    今年制作したクルマの紹介。

    ・ホンダ NSX TypeR(1992)
    HONDA NSX TypeR(NA1)

    ・ホンダ インテグラ TypeR(1995)
    HONDA INTEGRA TypeR(DC2)

    ・ホンダ シビック TypeR(1997)
    HONDA CIVIC TypeR(EK9)

    今回のクルマのドット絵で紹介してきた、'90年代自動車企業史。
    最後はホンダ。

    ホンダの創業者、本田宗一郎が1991年。
    その「相棒」であった藤沢武夫が、さらにもう少し前の1988年。
    両者ともバブル後の世界を見ることなく、この世を去りました。
    この時点で二人とも、既に経営から退いてはいましたが、
    もし二人が'90年代の日本を目にしていたら、どんな感想を抱いていたのか……。

    '70年代末にアメリカ進出を果たして以降、世界展開も積極的に行い、
    世界のあらゆる地域でホンダを目にすることができるまでに成長しました。
    が、それにもかかわらず、ホンダは他のメーカーを子会社にしたり、
    どこかの傘下に収まったりしたことは一度もなく、
    他のメーカー同士でよく行われている企業連合には、まったく関わっていません。
    多少の業務提携や資本提携はあるものの、
    今日に至るまで、独立独歩の巨人として経営を続けています。

    NSXの販売を終了し、TypeRをシビック一本に絞り、
    すっかりモータースポーツ熱が引いたかに思えたホンダですが、
    2023年から再びF1に参戦することを発表。
    何回でも、何度でも、「やれそうならやる」「続けられるだけやる」と言った感じで、
    断続的に挑戦し続けています。
    もしかしたらまた、新たなNSXやTypeRが……、と希望を抱くのは、
    決して僕一人ではないと思います。

    ……よく考えたら'90年代以降の話もしてるけどまあいいや。



    今年の投稿はこれで終了。
    良いお年を。

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    クルマのドット絵 その94

    クルマのドット絵

    今年制作したクルマの紹介。

    ・スズキ カプチーノ(1991)
    SUZUKI Cappuccino(EA11R)

    ・三菱 ランサー エボリューション III(1995)
    MITSUBISHI LANCER EVOLUTION III GSR(CE9A)

    ・スバル インプレッサ(1997)
    IMPREZA WRX TypeR STi  VersionIV(GC8)

    前回、前々回からお話ししている'90年代自動車企業史。
    今回も紹介していきます。

    スズキはバランス感覚のいい企業と言えます。
    '80年代からGMと資本提携しつつ(2009年に提携解消)、
    トヨタを筆頭として日産、三菱、マツダへOEM供給をはじめとした業務提携を行っており、
    同業他社と親密な交友関係を築いています。
    経営に関しても大きな穴もなく、'90年代を順調に渡り切っていたようです。
    ……厳密に言えば、詳しく述べた資料が手元にもウィキペディアにもないため、
    どんなことをしていたのかがイマイチ分からないと言うのが正直なところですが、
    この頃に社長を務めていた人物がGMとの資本提携について、
    「鯨のようなGMに対し、スズキはメダカ同然。このままGMに吸収されてしまうのではないか?」と質問され、
    「うち(スズキ)は蚊だ。メダカなら飲み込まれてしまうが、蚊は空高く飛べるから飲み込まれることはない」
    と答えたそう。前述の「バランス感覚」が、この一言に詰まっているように感じます。

    三菱とスバルが'90年代にWRCへ参戦したことは以前にお伝えした通りですが、
    この切磋琢磨がそのままランサーとインプレッサの人気、
    ひいては三菱とスバルの人気につながったことから、
    両者とも'90年代は好調だったようです。

    ……しかし残念ながら、その'90年代から三菱も、スバルも、いや、他のどの自動車会社も、
    リコール隠しや過労死問題をはじめとした、良からぬ事件が頻発するようになります。
    経営上の失敗でなく、不祥事によってその評判を落とすことも多くなり、
    自動車業界のイメージはこの頃から、悪化し始めました。



    悪いことをする人間には概ね2種類の動機があります。1つは、利己的な欲求を満たそうとする時。
    そしてもう1つは、起こった問題をごまかそうとする時です。

    バブル終焉により、それまで当たり前だった収益モデル、
    「こうすれば儲かる」と言う手法が次々に破綻し、自動車会社は数多くの問題を抱えました。
    それこそ破産・倒産も起こりうるほどの、極めて深刻な問題が。
    それでもなお「日本の象徴」自動車会社としての体面を保つために、
    「これくらいならやっても大丈夫だろう」と言うラインをじわじわ、じわじわと下げ続け、
    それを繰り返すうちにいつしか、「絶対やってはいけない」領域まで踏み込んでしまったのでしょう。

    そして今日も、そしておそらくは明日も、自動車業界の闇が報道されていきます。
    '90年代に撒かれた問題の種たちは、極めて残念ながら、まだまだ芽を出し続けています。

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    あんたが感謝してるのと同じくらい

    今日の旅岡さん

    実は本日の未明くらいに閃き、急いで描き上げました。
    クリスマス仕様のパラ。



    ひょんなことから知り合った虎海さんと、その親友夜狼さんによって、
    どっぷりミリ沼につかってしまったパラ。
    普段着ているものがすっかりオリーブグリーンとネイビーブルーに染まった頃になってふと、
    虎海さんたちにお世話になりっぱなしで、ちゃんとお返しし切れてないのではないか、と思った。

    そこで虎海家が主催するクリスマスパーティに招待されたパラは、
    心を込めたお返しの品を、二人に贈ることにした。



    パラ「ミヤビ、ナナ。今年一年、大変お世話になりましたこと、深くお礼申し上げます。……ありがとうございます」

    そう言ってプレゼントの袋を2つ、二人に差し出したところで、
    相手もにこっと笑って、それぞれプレゼント箱をパラに差し出した。

    虎海「こちらこそあなたの『戦場』でのご尽力に、少なからず助けられております」
    夜狼「あんたが感謝してるのと同じくらい、あたしたちも感謝してるのよ」

    プレゼントを2つ受け取ったパラは嬉しそうにうなずき、返事をしようと口を開くが――。

    パラ「大変……大変、その……ありがたく、その……」

    でも、なんだかうまく言葉にならない。
    珍しく口ごもったパラの肩を、虎海さんがぽん、と叩いた。

    虎海「仰りたいことは言葉ではなく心で理解しております。さあ、お荷物を預けたら改めて歓談いたしましょう、『戦友』さん」
    夜狼「カッコつけすぎ。どーせ一刻も早くご飯食べたいんでしょ、ミヤは」
    虎海「……それもございますわね、うふふ」

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    あれ夏毛とか冬毛とかあるん?

    今日の旅岡さん



    旅岡さんや大江さんのようなつるんとした耳の人たちは、
    世間のふわふわな耳と尻尾を持つ人たちに対して、こんな疑問を持つことがしばしばある。
    「あれ夏毛とか冬毛とかあるん?」
    長年抱いていたその疑問を解決すべく、二人は友人・知人に聞いて回ることにした。

    富士見さんと猫藤さんに聞いたところによると、
    「あんま変わんない。あたしの家、家族全員『狐』だけど、
    ペットみたく季節の変わり目に抜け毛ぶわー、みたいなのはないかなー」
    「あたしん家もそんな感じだなー。髪と一緒に切ってもらう程度。
    父ちゃんと兄ちゃんも月イチで母ちゃんに切ってもらってる」
    とのことだった。

    ところが円さんはこう答えている。
    「あーあるある、めっちゃあるわ。人形2、3個作れるんちゃうかくらいわっさわさ抜けるで。
    春と秋はおかんと尻尾梳かし合うとるし」

    他の友人・知人にも聞いてみたが、人によって生え変わりが著しかったり、
    かと思えば全く無かったりと、みんなまちまちの回答だった。
    どうやらこれはと花粉症や冷え性などの体質と同様、人によって程度が違うものらしい。

    旅岡「ほんなら人によったらガチ毛玉みたいなふわっふわになっとったりもするんかな」
    大江「あるかもね」

    そんなことを話しながら通りを歩いていたところで、
    二人の眼の前を、本日最大級の「毛玉」が横切った。

    旅岡・大江「うわっ」

    二人の声に、そのふわふわの持ち主が振り返る。

    天狐ちゃん「ん? なんだよ、紅子と双葉じゃねーか。変な声出してどうした?」
    旅岡「あー、いや、……えっらい冬毛しとるなーって」

    言われて天狐ちゃんは、自分の背後でふわふわ揺れている、
    九つの尻尾に目をやる。

    天狐ちゃん「コレか? すっげーだろ、ケケケ」

    自慢気に揺らして見せ、自慢したがりの天狐ちゃんはつい、
    二人に「触ってみるか? 絶対すげーって言うぜ」と言ってしまった。



    旅岡「すっごいわ……めっちゃふっわふわやん」
    大江「うっわ……手ぇ埋まる……うわー」
    旅岡「天然羽毛布団やんか、こんなん……」
    大江「あたし猫とか触れないからちょっと感動してる……」

    そして10分、20分と、天狐ちゃんはひたすら尻尾をフカフカと揉まれ続けた。

    天狐ちゃん「いつまで揉んでんだよお前らぁ……」

    と、天狐ちゃんはいつの間にか自分の背後に、
    小鈴がニヤニヤしながら立っていることに気付いた。

    天狐ちゃん「小鈴ぅ~……ちょうどいいトコに来てくれたぜぇ~……。
    いい加減コイツら何とかしてくれぇ~……さっきから全然離れてくれねーんだよぉ~……」

    へろへろの声を出して頼んでみたが、小鈴は依然としてニヤついていた。

    小鈴「アンタ普段から周りに自分のコト『ちゃん』付けしろっつってんだから、
    たまには思いっきし可愛がられときなさいよwww」
    天狐ちゃん「えぇー……」

    結局二人が満足して離れるまでの30分、
    天狐ちゃんはご自慢の金毛九尾をフカフカされ続けたのだった。

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    2024年1月携帯待受

    携帯待受

    ISUZU Bellett GTR(PR91W)

    ISUZU Bellett GTR(PR91W)

    ISUZU Bellett GTR(PR91W)  ISUZU Bellett GTR(PR91W)

    2024年1月の携帯待受。
    いすゞの'69年式ベレットGTR。

    「GT-R」を冠するクルマを日本で最初に開発したのは日産ではなく、
    まさかのいすゞでした。

    日本のモータースポーツ黎明期である'60年代、
    この当時は他の自動車メーカーと同様に乗用車部門を設けていたいすゞは、
    トヨタ・コロナや日産・ブルーバードと同じ中型セダン市場に参入すべく、
    既にあった高級セダン、ベレルをベースにもう一回り小さいセダン、ベレットを開発しました。
    ベレルの技術的・商業的失敗を踏まえた包括的改良・改善に加え、
    当時最先端の技術が盛り込まれたこのクルマは、
    たちまち――いすゞとは思えないような――人気を博しました。

    このベレットをベースにした競技車輌、GT-Xでまさかの快進撃を見せたいすゞは、
    '69年に同車の市販仕様「ベレットGTR」を発売。
    1トンを切る超ライトウェイトボディに1.6リッターDOHCエンジンを搭載したこのクルマは、
    いすゞ車らしからぬ優れた性能を発揮し、当時のクルマ好きの若者を魅了しました。

    「まさかの」、「いすゞとは思えない」などと、何度かいすゞを貶めるような書き方をしていますが、
    これにはれっきとした理由があります。
    残念ながらいすゞの乗用車部門は日本の自動車メーカーの中でも後発組で、
    トヨタや日産と比べて技術力、販売力、信用度などのあらゆる点で、後塵を拝する存在だったからです。
    当然ながら総じて乗用車市場における人気は低く、
    '90年代に乗用車部門が廃止されるまで、一度も「いすゞの時代」は訪れないままでした。
    ……モーターレースを優勝した、その瞬間を除いては。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、毎月上旬~中旬頃にX(旧twitter)にてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
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    クルマのドット絵 その93

    クルマのドット絵

    今年制作したクルマの紹介。

    ・トヨタ MR2(1989)
    TOYOTA MR2(SW20)

    ・トヨタ スープラ(1993)
    TOYOTA SUPRA(JZA80)

    ・マツダ RX-7(1991)
    MAZDA RX-7(FD3S)

    日本経済凋落の'90年代を、日本の代表とも言える各自動車会社はどう凌いでいたのか?
    今年は「'90年代スポーツカー」を取り上げ続けてきましたし、
    散々日産のことを腐してしまったので、他のメーカーのことも取り上げていきます。

    '80年代までトヨタの得意分野であった高級セダン・クーペ市場は、
    '90年代に入ってその人気・シェアを大きく後退させ始めていました。
    当然、トヨタの業績もこれに伴い悪化の兆しを見せていましたが、
    トヨタはもう一つの得意分野であるランクルやRAV4などに代表されるRV・SUV市場、
    エスティマやハイエースなどに代表されるミニバン市場へのシフトを試み、
    結果的に大きな障害もなく成功しました。
    ここで挙げた車種がいずれも商業的大成功を収めたことが、その証明であると言えます。
    「問題に気付いたら速やかに解決を試みる」、「過去の成功に固執しない」、
    「多岐にわたる得意分野を持ち、技術的なリスクヘッジが可能」、
    と言った辺りがトヨタが日本、いや、世界的大企業である所以でしょう。
    正直言って、けなす部分がこれと言ってないです。

    一方、世界一売れたオープンカーであるロードスター、
    最も美しいクルマの一つであると評価されたRX-7を擁するマツダはどうだったのか?
    こちらは惨憺たるものと言っていい状況でした。
    バブル景気に乗じて経営拡大策を講じ、販売店と販売車種を一挙に拡大。
    ところがバブルの崩壊に伴いこれら拡大策のマイナス面、即ち高コスト経営化が足を引っ張る一方、
    そのメリットがほとんど表れないと言う残念な結果となってしまいました。
    これにより急速に経営は悪化し、やがて事実上フォードの傘下に収まることとなります。
    (なお2008年にフォードはマツダの全株式を売却し、現在この関係は解消されています)
    この辺りはルノー(海外資本)のお世話になった日産と、ほぼ同じ道をたどったと言えます。

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    架空ロゴ;「ランクス&アレックス」(リメイク)

    架空ロゴ

    以前に製作した超巨大ドーナツチェーン店、「ランクス&アレックス」のロゴを、
    もっとかわいく作り直してみました。



    かわいい狼のイラストを製作していただいたキツネ月(@Kitsune_Hyoka)さん、
    そしてかわいいフォントデザインをお借りしたゆうたONE(@yuta_ptv)さん、ありがとうございました!

    なお、「イヌ科(っぽい人たち)にチョコレートって大丈夫なの?」と言う疑問については、
    「僕の世界では大丈夫。大抵の人類が大好き」とお答えしておきます。
    そもそも現実世界でイヌ科にチョコを与えてはいけない最大の理由は
    「チョコに含まれる成分(テオブロミン)をヒトと同じ量摂ると分解しきれずに中毒を起こすから」ですが、
    双月世界や旅岡さんたちの世界に生きているケモミミたちは、一般的なヒトと同サイズの人たちです。
    なのでチョコレートもカレーも塩鮭も、(ヒトにとっての)普通の量が食べられます。
    天狐ちゃんに至っては三度の飯より大好きなスイーツですから、みんな喜んで食べてます。
    ミッドランドはICTとチョコレートの国です

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    クルマのドット絵 その92

    クルマのドット絵

    年末恒例、今年制作したクルマの紹介。

    ・日産 フェアレディZ(1989)
    NISSAN FAIRLADY Z(Z32)

    ・日産 シルビア(1999)
    NISSAN SILVIA SpecR(S15)

    ・日産 スカイライン GT-R(1999)
    NISSAN SKYLINE GT-R(BNR34)

    '70年代、'80年代には北米でも人気を博していた日産でしたが、
    '90年代から大迷走を繰り返し、やがて2兆円の負債を抱えて
    ……と言うことは以前にお伝えしましたが、
    現在でも日産のCMを毎日目にするくらいには順調な経営が続いていることから、
    どうにか'00年代、'10年代をしのげたのだと言うことは察せられます。

    その辺りの詳しい解説はいずれR35型GT-Rの時にでも行うとして、
    日産の経営、そして日産製スポーツカーはどうなっていったのかを、ざっくり説明。



    上述の負債を抱えた後、日産はフランスの自動車会社、ルノーの傘下に入り、
    経営を立て直すこととなりました。
    この際に、あのカルロス・ゴーン氏が日産のCEOに就任。
    現在は特別背任の容疑者として知られる同氏ですが、
    元々経済界では超々一流のターンアラウンド・マネージャーとして知られており、
    コスト高で首が回らなくなっていた日産の体質改善を図り、結果的に成功。
    2兆円の負債を2003年に解消し、経営はV字回復。
    その後も2018年まで順風満帆、……でしたが、ここからまた雲行きが怪しくなりました。

    前述の通り、ゴーン氏は2018年に有価証券報告書の虚偽記載による金融商品取引法違反で逮捕され、
    後に他の特別背任も続々発覚。すべての職を辞し、日本から不正に出国した後、レバノンへ逃亡しました。
    この影響か、2019年にはゴーン氏就任以降初の赤字を計上しました。
    そして翌年2019年の暮れから新型コロナウイルスが世界的に流行したことから、
    世界全体の経済が停滞。日産もこの影響を受け、ふたたび経営に影が差しつつあります。

    これを受けて日産は新たな事業構造改革計画「NISSAN NEXT」を発表し、
    「最適化」と「選択と集中」を焦点に、経営の立て直しを図っています。
    当計画は2020年から2023年までの中期計画で、
    来年にはその結果、つまり「日産は次に進めたのか」が判明するでしょう。

    ちなみにこの「NISSAN NEXT」の一環として「A to Z」、
    アリアからフェアレディZまでの12車種を18ヶ月以内に投入することを発表。
    Zを前面に押し出していることから、「次の日産」もスポーツカーへの情熱を失わない、
    失わせないと宣言しているようにも感じられます。

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    顔アイコン;エリザ(2回目)

    双月千年世界

    小鈴とシュウの顔アイコンを更新し、動画の進行としてはもう更新する必要はないんですが、
    作りたくなったのでエリザの顔アイコンも更新しました。




    前バージョンと比べてオトナのお姉さん感が増しました。
    あとバストラインがいくらか自然になったかも。

    何かの機会に動画で使いたいところですが、使うとなると動画が4人体制になり、
    進行がものすごくわちゃわちゃしそうで、二の足を踏んでいます。

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    2023年12月携帯待受

    携帯待受

    HONDA NSX TypeR(NA1)

    HONDA NSX TypeR(NA1)

    HONDA NSX TypeR(NA1)  HONDA NSX TypeR(NA1)

    2023年12月の携帯待受。
    ホンダの'92年式NSXタイプR。



    現状のホンダのラインナップでは、
    既に「シビック」のみのグレードとなったタイプR。
    とは言え当初このグレードが設定されたのは、
    元よりピュアスポーツカーとして製造された、このNSXでした。

    今後、もしスポーツカー人気が再燃し、ホンダが今一度、
    これらの要求に応えるクルマを造ることとなった時、
    この「タイプR」グレードが再び、シビック以外に与えられるのではないか。
    ……と、新型NSX(NC1)が発売された時は期待しましたし、
    そもそも上述の経緯から、与えられて然るべきではとも思っていました。

    しかし残念ながら、新型NSXにはこのグレードは与えられず、
    販売終了の直前に「タイプS」が設定されたのみでした。
    ホンダの公式発表によれば、NSXの発売終了は「利益率が低迷している四輪事業立て直しの一環」とのこと。
    未だ日本のスポーツカー再興の道は遠いのでしょう。

    ただ――これは僕個人の主観であり、希望も混じった予測ではありますが――
    日本のクルマ人気が、このまま落ち続けるとは考えていません。
    世界に目を向ければ、日本車の出てこないレースゲームは皆無ですし、
    クルマを題材にした映画では、日本車はかなりの確率で強敵の愛車として描かれます。
    何かの拍子にまた日本経済が上向いた時、日本はまた再び、
    万人の目を惹くようなスポーツカーを造ってくれると、強く期待しています。



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    15周年記念イラスト

    双月千年世界



    先月10月6日は当ブログ、「黄輪雑貨本店」の解説記念日でした。
    と言うわけで、うちのメインコンテンツ「双月千年世界」の代表代行たち5人+1の集合絵を、
    VroidstudioとBlenderで製作しました。

    こうして見ると、シュウと天狐ちゃんがちっちゃい。そしてランニャがデカい。

    VroidstudioもBlenderもまだまだ初心者なので、今は棒立ちさせるのが精一杯。
    2~3年後にはもっと躍動感ある絵を作りたいところです。

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    業務連絡;「緑綺星」目次とあらすじを追加しました(第4部)

    雑記

    下記ページにて、「緑綺星」第2部の目次とあらすじを追加しました。

    http://auring.web.fc2.com/au-novel.html(目次)
    http://auring.web.fc2.com/ro-outline4.html(第4部あらすじ)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    「緑綺星」第4部、今回はどうにか50話超えました。
    次回もこの量で書ければいいなぁ。

    今のところどう言う展開にするか、まだ決めかねてる感じです。
    白猫党との戦いはどう進んでいくのか、どんな結末を迎えるのか。
    いつにも増して無計画、無軌道な状況のため、
    いつ終わるのかもさっぱり分かりません。
    が、長々と続けるのもあまり好きではないので、
    最長でも2026~27年くらいには完結させたいところです。

    もっと伸びるかも知れませんが。

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    キャラ紹介;第4部

    緑綺星 キャラ

    「緑綺星」第4部のキャラ紹介。
    ラコッカファミリーと、ようやく一聖ちゃん。

    名前ラック・ポプラ / Luck Poplar
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    男性? / 短耳? / 200歳くらいですって
    自由に変えられる
    自由に変えられる
    職業「シェイプシフター」
    普段はしょんぼりしたおじさんの格好ですが、
    老若男女誰にでも、あと、熊でも虎でも恐竜でも、
    何にでも変身できるんですって。
    こないだ試しに「テンコちゃんに化けられます?」
    って聞いたんですけど、
    「畏れ多すぎて無理です」って断られました。(文責:シュウ)

    名前ロロ・ラコッカ / Lolo Racocca
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    男性 / 熊獣人 / 667年
    髪:黒 瞳:茶 耳・尻尾:茶
    大柄、筋肉質
    職業ラコッカファミリー代表 / カプリ共和国大統領
    見た目は岩みたいにおっかない感じの人でしたけど、
    話しみてたらすごく穏やかで優しい人でした。
    ネット会議越しでしたけど、とってもいいお話が聞けました。
    やっぱりテンコちゃんが大統領に指名するだけの人格者さんでしたね。
    なお会議の内容は動画にさせていただきました。
    いい撮れ高でしたw(文責:シュウ)

    名前一聖 / かずせ / Kazuse
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    女性 / 短耳 / 自称1000歳以上
    髪:黒 瞳:左・黒、右・赤
    小柄、痩せ型 色黒
    職業克大火の7番目の弟子 / 魔術研究者
    なんでも造れちゃうスーパーメカニック!
    コッテコテのギーク気質で、いったん凝り始めたらもう止まらない!
    ……って感じのコですねー。通称カズちゃん。
    あ、あとチョコレートが三度の飯より大好きですね。マジで。
    (文責:シュウ)


    ロロの紹介に関して、ちょっとインチキしてしまいました。
    作中にシュウが述べたような描写はありません。
    幕間でやってた、……と言うことにしておいて下さい。
    恐らくここ以降で紹介の機会はないですし……。

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    緑綺星 目次(第4部;シェイプシフター編)

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「緑綺星」第4部地図(第2部と同様です)

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    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝(2019年版)
    双月世界の戸籍

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    1話目から読みたい方はこちら



    緑綺星・底辺譚
    1 2 3 4
    緑綺星・福熊譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    緑綺星・応酬譚
    1 2 3 4 5 6 7 8
    緑綺星・聖怨譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
    緑綺星・国謀譚
    1 2 3 4 5 6 7
    緑綺星・機襲譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
    緑綺星・建国譚
    1 2 3 4 5 6

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    第1部;猫報譚~白闇譚
    第2部;狼嬢譚~宿命譚
    第3部;奇家譚~震世譚
    第4部;底辺譚~建国譚

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    緑綺星・建国譚 6

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第162話。
    白い闇に踏み込む星々。

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    6.
     天狐や「セブンス・マグ」の面々からは「声がかかるまで自由に過ごしていい」「気楽にやっていい」と言われていたものの、ラックが「何か仕事してた方が気楽ですんで」と固辞したため、彼は天狐ゼミが行われている屋敷で用務員を勤めることとなった。
    「真面目さんですねー」
     朝早くから掃除用具を背負い、仕事に出かける彼の姿をすれ違いざまに眺めながらつぶやくシュウに、ジャンニがうなずいて返す。
    「ホンマやな。俺らと大違いや」
     が、シュウは口を尖らせる。
    「わたし仕事してますけど? フリー記者ですよ? 『ビデオクラウド』の動画投稿でもちゃんと稼いでますし」
    「あっ、……せやった」
    「カイトくんもちょこちょこ警備とか用心棒とかテンコちゃんに頼まれてますし」
    「あ、うん」
    「オーノ博士もこっちで研究続けてますし」
    「まあ、うん」
    「エヴァもテンコちゃんの秘書してますし」
    「せ、せやね」
    「テンコちゃんだって普段は遊んでるよーに見えて今回、1兆エル規模のお仕事成功させたんですし。1エルもおカネ稼がずに本気で遊び呆けてるのはジャンニくんだけでしょ」
    「うぐっ」
     小突き回され、ジャンニの耳と尻尾がしおしおと垂れるが、シュウのお小言は止まらない。
    「ちゃんと勉強しましょうよー。そのまま大人になって歳取っておじさん、おじいさんになっても何一つ取り柄も特技も無いぞってなったら、ものっすごーくカッコ悪いでしょ」
    「や、やる時はやるから」
    「やらない時でもやりましょーよ。できる人とできない人はそーゆーところで差が付くんです。とりあえずカズちゃんに相談したらどーです? あの子も昔、先生やってたって話ですから」
    「……う、うん。気が向いたら」
     気のない返事に呆れたシュウは、ジャンニの手を取る。
    「じゃあ行きますよ」
    「む、向いたら言うてるやん」
    「いつ向かせるつもりですか? そんなコト言ってたら今日も明日もゲームして終わりですよー?」
     シュウに引っ張られ、ジャンニは仕方なく一聖のところに向かった。

     前述の通り、真面目に仕事に出てきたラックを、天狐が出迎えた。
    「ありがとよ、ラック」
    「ども。……そんじゃ、あの、早速」
     ラックが小さく会釈し、作業袋から雑巾を取り出すのを眺めながら、天狐はそのまま話し続ける。
    「鈴林だけじゃ手ぇ回らねーみたいでな。と言ってオレは掃除嫌いだし。お前さんがやってくれるっつってくれて、マジで感謝してるよ」
    「ええ、はい」
    「で、だ。ちょいと真面目な話がしたいから、悪いが手ぇ止めてくれるか?」
    「あ、はい」
     取り出そうとしていた雑巾をしまい、しっかり顔を上げたラックに、天狐が小声で話す。
    「オッドのコトを調べた。今はどーやらウラの世界にいるらしいな。お前さんにゃ極めて残念だろーが、ピンピンしてるみたいだぜ」
    「そう……ですか」
    「今は違法薬物の製造やら販売やらに関わってるらしい。いわゆる麻薬関係だな。バックに付いてるのは白猫党って話だ。つまり表沙汰にできねー資金源がまだ、白猫党にはいくつもあるってコトになる。今回の件でオモテに出せる資金源は粗方潰してやったが、ウラからのカネがまだいくらでも入るってなると、まだまだ奴らの息の根を止めるコトはできねーだろう。
     そもそも今回の石油の件も、一旦は手を引かせた形にはなるが、ほとぼりが冷めたらまた、性懲りもなく攻めてこようとするだろう。オレがメディア使って散々こき下ろしたけども、実際の白猫党は相当ヤバい軍事組織だ。EMP兵器についてもいずれ対策されるだろーし、コレからもっと手強くなるだろう。ココからが本当の戦いになると言っていい。
     オッドの件をどーにかしようとすれば、いずれ白猫党全体と戦わなきゃならなくなるが――ソレでもお前さんは、オレに手を貸してくれるか? 『セブンス・マグ』として戦ってくれるか?」
    「もちろんです」
     ラックは作業帽を脱ぎ、天狐に頭を下げた。
    「俺、あなたのためなら、何でもします」
    「……その言葉、信じるぜ」
     天狐はラックの頭をぽんぽんとなでて、その場を後にした。

    緑綺星・建国譚 終

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    緑綺星・建国譚 5

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第161話。
    シェイプシフター;その勇気のために。

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    5.
     小男が部屋に入ってきたのを見て、シュウがきょとんとする。
    「お掃除ですかー?」
    「あ、はい、すんませんです。先日、あの、えっと、テンコちゃんに雇われまして。俺のことは気にしないで下さい。すぐ終わりますんで」
    「はーい」
     軽く返事し、一瞬目線を切りかけたが、シュウはもう一度小男に向き直る。
    「ラックさんでしたっけ?」
    「えっ!?」
     小男はびくんと体を震わせ、シュウと目を合わせた。
    「こないだスチフォスーツに入ってくれた方ですよねー?」
    「あっ、いえ、……あの、そ、そうです、ども」
    「んー……?」
     一方のジャンニは首を傾げながら、ラックの姿を眺めている。
    「そんな顔やったっけ……? もっとなんか、うーん、なんちゅうか……なんかちゃうねんな。しょんぼりしてはるんは一緒やけども」
    「確かに顔、ちょこっと違いますねー。わたしたちとは初対面ですみたいな体でお部屋入ってきましたし。なんで知らん顔したんですー?」
    「いや、その、えっと」
     ラックは口ごもり、シュウから目をそらす。と――。
    「案の定だな、お前さん。普通に挨拶しろっつったろーがよ」
     天狐が呆れ顔で、部屋に入ってきた。
    「そのツナギも何なんだよ? オレは清掃業者雇ったつもりはねーぞ」
    「あ、その、あのー……すんません」
    「すんませんじゃねーよ。なんでだって聞いてんだろーが」
    「まーまー、テンコちゃん」
     シュウが天狐とラックの間にやんわりと割って入り、ラックに笑いかける。
    「とっても恥ずかしがり屋さんなんですねー。でも大丈夫ですよ。わたしもジャンニくんも堅苦しいのも暑苦しいのも苦手なタイプなんで、自己紹介なんてさらっと一言、『どーも』くらいで十分ですから。ってワケでどーも、シュウ・メイスンですー」
    「あ、はい、そんじゃ、ども。ラック・イーブンです」
    「ジャンニ・ゴールドマンです。よろしゅう」
     と、やり取りを見ていた天狐が「ふむ」とうなった。
    「そー言やラック、その名字は自分で考えたのか?」
    「あ、はい、そうです。名前だけだと宿取れないことがあるんで」
    「今までラックのスペル、普通に『Luck(運)』って思ってたが、お前さんの性格でその名字名乗ってるってコトはまさか、『Lack(欠ける)』なのか?」
    「あ、はい、そうです」
    「ってコトはだ、お前さん自分のコトを『半欠け』って名乗ってんのか? だとしたらクッソ縁起悪りいな」
    「すんません、その通りです、はい」
     素直にうなずいたラックに、天狐は口をへの字に曲げて返した。
    「そんなシッケシケのシケ散らかした名前自分で付けっから、人生も性格もツラもシケんだよ。オレが付けてやる」
    「えっ? いえ、そんな、いいです。ずっとこれで通してきたんで」
     戸惑うラックに構わず、天狐はピン、と人差し指を立てた。
    「四の五の言うな。お前さんは今からラック・ポプラだ」
    「な、なんでです?」「あーなるほどぉ」
     困り顔のラックに対し、横で聞いていたシュウがぺち、と両手を合わせ、合点が行った様子を見せた。
    「『勇気の青い花』のお話ですねー? あと、ラックもLuck(幸運)にする、と」
    「ご明察。そーゆーコトだ」
     天狐はイタズラっぽい笑みを浮かべながら、ラックに説明した。
    「LuckにPを付けりゃ、勇気(Pluck)になる。こっちの方が断然イケてんだろ」
    「い、いやー、その、俺に勇気なんて全然似合わないです、全然。何かもう、俺とは対極って言うか、程遠いって言うか……」
    「遠いコトねーだろ。そもそも今までの話の始まりは、お前さんがロロたちの前に立ちはだかってタマ防いだからだろーが。勇気ってのはそーゆーもんだろ。所構わず暴れ回るのは勇気でも何でもねー。ただの無鉄砲だ。出すべき時に絞り出して奮い立ち、未来を切り開くからこそ勇気ってもんだ。お前さんの勇気でロロも、アイツの生徒たちも、特区の人間みんなも助かったんだ。
     お前さんの名前にゃ、勇気こそふさわしいってもんだぜ」
    「……は、は、はい、ども、……ありがとうございます、……ども」
     耳の先まで顔を真っ赤にしたラックの顔は――先程よりどことなく、印象が深くなったように見えた。

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    緑綺星・建国譚 4

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第160話。
    彼女はドライでアナリストなインフルエンサー。

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    4.
    「ほなシュウさん、トラス王国から指名手配されたん!?」
     目を丸くするジャンニに、シュウは「そーですねー」と、あっけらかんとした様子で答えた。
    「なんでも『軍のストライキを扇動した』とかで、内乱罪の容疑かけられちゃいました。戻ったら死刑ですね。死刑ってまだ実施されてるのか分かんないですけども」
    「そんな他人事みたいにかるーく言わんといてえや……。ヤバいやんか」
     心配そうに見つめるジャンニに、シュウはぺらぺらと手を振って返す。
    「戻らなきゃいいんですよ。犯罪者引き渡しの協定とかも、今回は適用されないでしょうし」
    「そうなん?」
    「まず第一に、そもそも今回の件は犯罪としての立証が困難だからです。わたし確かに動画で『国民のためになる行動を』って言いましたけど、『スト起こせ』なんて一言も言ってませんもん。そもそも『スト=国家反逆行為』と言い切るのはこじつけすぎです。軍が骨抜きになったコトは、結局は上に問題があったからですし。大体、国家首脳陣が利己的な理由で軍隊動かしてたんですから、そっちの方が国に対する背信行為でしょ?」
    「うーん……そらまあ……そうなる……かなぁ?」
    「そして第二に、仮に内乱罪が成立するとトラス王国内で判断されたとしても、既に現時点で『新央北』配下国もその他の国も、王国との関係を切ろうと動いてる最中です。王国が引き渡しを要請したところで、要請された側には応じる理由がないんですよ。『犯罪者の隠匿がー』とかなんとか王国が騒いだところで、『そっちの自業自得だ』って返されて終わりでしょーねぇ」
    「でもシュウさんの故郷やろ? 家族も後ろ指差されるんとちゃうん? 会社の信用とかも……」
    「移転してますよー、もう」
     そう言って、シュウは――おそらく天狐か一聖が食べかけて机に置いておいたであろう――MFB製の板チョコレートを裏返し、記載されている本社所在地を見せた。
    「ほらココ。去年の暮れに、こっちの方に。ココから船とバスで、1時間で行けますよ」
    「マジで?」
    「元から王国経済が右肩下がりで法人税と固定資産税がめちゃくちゃ引き上げられたのと、労使交渉の問題ですね。軍みたいにスト起こして給料上げさせるぞって従業員の人たちが内々で計画してたのがバレて、ソレで社長であるわたしの父と、常務取締役の兄がキレたんですよ。『じゃあ勝手にしろ』って。で、資本金と保有資産全部引き上げて、央中に移ってきたんです。近くにわたしがいるからってコトで」
    「え、ほなシュウさんがミッドランドにおること、バレてんの?」
     ぎょっとした顔をしたジャンニに、シュウは「だいじょーぶですよー」と笑って返す。
    「今みたいに情勢が緊迫するずっと前の段階の話ですから、トラス王国に察知されてる可能性はないです。あったとしても国外まで追いかけてこないでしょーし。白猫党が知ってる可能性もないと思います。家族とはTtTでやり取りしてましたから」
    「TtTに信頼置きすぎとちゃう? ハッキングでもされたら……」
    「あれ、知らないんです?」
     シュウは窓の外――天狐屋敷のある丘のふもとに広がるビル街を指差した。
    「本社あそこですよー」
    「あそこなん!? ……うわっ、ホンマや! 良く見たら看板立っとった!」
    「テンコちゃんのゼミの卒業生の人たちが立ち上げたベンチャー企業で、技術力は折り紙付きってヤツです。創設以来、サイバー攻撃されて情報抜き取られたって言うような話は一回もありません。だから世界一人気のアプリなんですよ」
    「うわぁ……マジであそこ本社なんや……知らんかった」
    「あと、公表はされてないですけど、『ビデオクラウド』とか『ルーモルーン』とかも、本社はココにあるってうわさです。テンコちゃんに聞いたら『ああ、アイツのトコな』とか言って、さらっと教えてくれるんじゃないですか?」
    「……テンコちゃんってマジですごくない? 金火狐以上の大物とちゃう?」
    「でしょーねぇ。カプリ共和国設立宣言の会見にもいましたし。建国とか会社設立とかでおカネなくなっちゃったって言ってましたけど、今回の件で多分1兆、2兆単位で稼げるはずですから、確実に投資額の何倍ってレベルのリターンになります。間違いなく世界最大級のフィクサーですよ、テンコちゃんは」
    「はぇ~……」
     ジャンニが感心した声を漏らしたところで――掃除道具を抱えたツナギ姿の小男が、がちゃがちゃと騒がしい音を立てながら部屋に入ってきた。
    「あ、すんませんです」

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    緑綺星・建国譚 3

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第159話。
    斜陽の王国。

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    3.
     一方、トラス王国は本格的に斜陽を迎えようとしていた。
     カプリ共和国建国以降も兵士たちのストライキは続いており、そればかりか、いつ本格的にクーデターが勃発してもおかしくない、緊迫した状況が続いていた。
    「……ふー……」
     そんな状況では軍本営にいることもできず、かつて特区への部隊派遣を指揮していたあの狼獣人の将校は自宅にこもり、やつれた顔でスマホに目を通していた。
    (今日も罵詈雑言のバルーンの嵐、か)
     短文投稿サイト「ルーモルーン」のタイムラインをぼんやり眺めていたが、そこに並んでいるのは王室政府と王国軍に対する、猛烈な批難と中傷ばかりだった。
    (こんなものいつまでも見てたら、……正直、何もかも嫌になってくる)
     とうとうスマホをベッドに放り投げ、彼は頭を抱えて机に突っ伏した。
    (正直、ここまで規律がめちゃめちゃになってしまったら、もう元に戻すのは困難だろう。と言うか、どうやって戻せって言うんだ? 現時点で兵士の誰も、上層部からの再三の復隊要請に応じてないって話だし。……そりゃそうだよな。国を守るために頑張ろうって、真面目にそのために働いてた奴が、実はお偉いさんのカネのために働かされてたって聞かされたら、そりゃやってられるかってなる。そこにもう一度『お偉いさんの財布のために頑張ってくれ』なんて言って復隊要請したって、誰だって断るだろう? 俺だってきっと、いや、絶対断る。……あー、正直俺も辞めたい。上からは無能だのグズだのとこき下ろされるし、下からは恥知らずと罵られるし。
     本気で転職考えるか……)
     放り出したスマホを拾い、彼は転職サイトを調べ始めた。と、サイトのトップに表示された文字に目を引かれ、彼は喜びかける。
    (『軍関係者歓迎』? 渡りに船だな)
     が、募集元を確認したところで、一転、彼は憤慨した。
    (『カプリ共和国防衛軍』だと!? ふざけてるのか……!? 人が真面目に職探ししてるのに、こんなたちの悪い冗談なんか……)
     しかし詳細を確認していくうち、本当にその募集元が、今はれっきとした隣国となったカプリ共和国であることが分かった。
    (連絡用の電話番号は、かつて使われていた向こうの局番。面接会場はニューフィールド市内。……マジで特区が、いや、カプリ共和国が募集してるのか? いやしかし、壁の向こうになんてどうやって、……あ、そうか。軍が機能してない以上、国境に兵士はいない。通り放題なわけだ。
     ……ん? 応募倍率が上がっている。……しかも結構上がり方速いぞ!? 人気なのか? あ、いや、そうか。王国軍に見切りを付けた奴が――俺を含めて――どんどん応募していってるんだ。……じゃ、俺も応募しよう。王国軍に義理も未練もないしな)

     翌日、彼は数年ぶりに軍服ではないスーツ姿で、兵士のいない国境をくぐっていた。
    「……マジで素通りできてしまった」
     思わずつぶやいたその言葉に、「ですよね」と声が続く。
    「ん? ……あっ」
     そこにいたのは先日、電話で自分に欺瞞作戦の存在を確認した、あの兵士だった。
    「どうも。……上官どのもこっちの応募に?」
    「そうだ。だから現時点で俺はもう、上官のつもりじゃない。前みたいにボスフォードでいいよ。新兵の頃みたく、ビートさんでもいいぞ」
    「じゃあ俺のこともターナー上等兵じゃなく、ルイスでいいですよ。配属された時みたいに」
    「……ふっ」
    「へへ」
     相好を崩し、互いに肩をすくめて、揃って今通ってきた国境を見上げる。
    「もう戻る気はないんですか?」
    「ないな。俺も欺瞞作戦のことを聞かされて、やってられなくなったクチだ。王国に未練はないし、住めるようならこのままこっちに住むよ」
    「俺は家族がいますから、通えたら通うつもりです」
    「どっちも上手く行くといいな」
    「そうですね」
     二人は肩を並べて、共和国の荒れた道を進んでいった。



     カプリ共和国が新設した防衛軍の人員募集には元王国軍兵士の7割近くが応募し、ほとんどがそのまま採用された。
     一方の王国は内閣総辞職を行うとともに、軍幹部陣のほとんどが罷免・更迭され、体制が完全に一新されたことでようやくストライキが解かれた。既に兵員は3割に減っていたため、こちらも大規模な募集を行ったが、信用を失った王国軍の離職率はその後も長年に渡って高止まりが続いた上に、ストが慣習化。大量離職と大量雇用が繰り返された上、度重なるスト解決のため、いたずらに人件費が防衛費に上乗せされていったことで財政が圧迫され――元々の不景気や震災の影響、赤字国債の際限ない増発、その他諸々の要因も合わさった結果――王国は数年後に財政破綻した。

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    緑綺星・建国譚 2

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第158話。
    ガラじゃない。

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    2.
    「な、なー、テンコちゃん、マジで俺が社長でいいのかよぉ。俺、はっきり言って算数もできねーバカなんだぜ? ガラじゃねーよぉ」
     高級スーツを身にまとったダニーが、困った顔で天狐に尋ねる。が、天狐は「しゃーねーだろ」と突っぱねる。
    「確かに数日前まではとりあえずロロが社長ってコトになってたが、アイツが大統領やるってなった以上、どっちもってワケにゃ行かねーだろーが。ソレともお前さんが大統領やんのか?」
    「い、いやいやいやいや無理無理無理無理! ……う~……じゃあやっぱ俺が社長やるしかねーのかぁ」
    「だろ? ……言っとくがこの話はもう6回目だぜ。コレ以上ゴネんな。この国最大の企業の顔になるヤツが、そんなシケたツラしてんじゃねーよ。
     安心しろって。経営上の問題があったらオレが相談に乗ってやる。カネの問題が出てもオレがハナシ付けてやる。お前さんが一人でやんのは部下全員のバランス取りくらいだ。今までだってファミリーのNo.2としてみんなの相談に乗ってたろ? ソレとやるコトは一緒だ」
    「ん~……まあ……そう言われたら……できる気がしてきたような」
    「だろ?」
     天狐はぽんぽんとダニーの背中を叩き、ニヤッと笑いかけた。
    「大体において取り返しのつかねー失敗して組織を破滅させるヤツってのは、一人で勝手に判断して勝手に行動するヤツだ。独裁者、三代目ワンマン社長、ガンコじじい、モラハラDV野郎、意識だけ高い系の無能、みんなそーだろ?
     だがお前さんは違う。心配性で素直だし、頼りになる相談役がココにいる。素直にオレの話聞いて慎重に判断すりゃ、下手打つコトはねーよ」
    「うーん……じゃあ……うん、頑張ってみるわ、俺」
    「よっしゃ、その意気だぜ。……ま、社長なのに勘定できねーってのはちょいと怖いから、勉強はボチボチやれよ? 算数ドリルからでいいから」
    「へぇーい……」

     一方、ロロはもっと高級なスーツを着た自分を鏡で眺めながら、ため息をついていた。
    「俺が大統領なんて、ガラじゃねえよ。今からでもダニーに任せらんねえかなぁ」
    「アハハ、その話6回目~」
     着替えを手伝ったラフィが後ろでゲラゲラ笑いながら、ロロの背中を叩く。
    「兄貴も同じこと、同じくらいグチってたし。ホント、先生と兄貴って似てるよね。マジの親子みたい」
    「そりゃ20年以上一緒に暮らしてんだから、似もするだろ。……まあ、俺が代わってくんねえかなって言ってるってことは、あいつも『親父に代わってくれ』って言ってんだろうな。……そう考えるとバカバカしいか。しゃあねえ、いい加減覚悟決めるか」
    「そーしてよ。1時間後に兄貴と一緒に会見だって、テンコちゃん言ってたし。あたしも一緒に出ることになってるし。先生と兄貴が揃ってアワアワしてたら、あたし恥ずかしいし」
    「それなんだがよ」
     たどたどしく髪を櫛で撫でつけながら、ロロは苦い顔をする。
    「俺とダニーは分かる。一応、大統領と社長だからな。テンコちゃんもここまで貢献してくれてたんだから、出るのは当然だ。だけどお前が来るのはなんでだ?」
    「ん~……大統領秘書?」
    「秘書ってガラかよ」
    「そりゃま、今は全然だけどねー」
     そう答えつつ、ラフィもロロの横で髪をまとめ始める。
    「でもテンコちゃん言ってたじゃん。『やるぞってハラ決めてやり出したら、どんな仕事だってサマになってくもんだ』って。じゃああたしも先生の秘書やるって決めたんだし、んじゃあたし、やれんじゃね?」
    「そう思うなら、まずは言葉遣いからだな。大統領秘書が『やれんじゃね』みたいなしゃべり方するかよ」
    「ん、ま、それはいずれ頑張るってことで」
    「しゃあねえな。……っと、ちょっとトイレ行ってくる」
    「いてら~」
     一人になったところで、ラフィも鏡に映った自分の姿を、まじまじと見つめた。
    「なるぞって思ったら、秘書にも、……大統領夫人にもなれんのかな、あたし」



     天狐によるカプリ共和国建国宣言の後、大統領とラコッカ石油社長とを交え、以下の声明が発表された。
     まず、かねてより央北の話題の中心となっていた巨大油田について、国際的協力の元で採掘と精製、販売を行うこと。また、この石油取引に関係する国々で「央北経済連合」、通称CNEUを設立すること。さらにCNEUに加盟する国家間で新たに通貨を発行し、「新央北」の経済圏からの脱却を図ること。そしてこの通貨の名称は一連の計画の中心人物である天狐の、トパーズを思わせる金と白の毛並みにちなみ、「トピー」とすること。
     また、この際に1トピー通貨の意匠も公開されたが――どうやらこれは、天狐に対する一種のサプライズでもあったらしく――そこに自分の肖像が使われているのを見た天狐は「ガラじゃねーなー」とつぶやき、顔を赤くしていた。

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    緑綺星・建国譚 1

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第157話。
    建国と傾国。

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    1.
     白猫党の6度目の侵攻が失敗に終わったその日の晩、克天狐は難民特区に記者団を集め、会見を開いていた。
    「本日、難民特区における最大の組織であるロロ・ラコッカ氏のグループを元とした政府を設立し、難民特区全域を領土とする国家が成立したことを、ここに宣言する。国名については、かつてこの地域がカプリ州と呼ばれていたことから、『カプリ共和国』とした」
     いつもの蓮っ葉な言葉遣いをいくらか抑えた堅い口調で、天狐がそう宣言した。
    「このカプリ共和国については現在ミッドランド市国と、トラス王国を除いた『新央北』加盟国すべてから国家としての承認を得るとともに国交を結び、正式かつ正当な国家であることが保証されている。今後、カプリ共和国に対して不当に侵入あるいは軍事的干渉を行った国があるコトが判明した場合には、当該国はそれら承認国からの経済面を含むあらゆる制裁の対象となることを明言する」
    「トラス王国からの承認を得ていない、と言うことでしょうか。その場合、元々の領有者であったトラス王国からの抗議、あるいは制裁があると予想されますが」
    「もちろん想定しているし、実際に抗議があった場合にはこちらも明白かつ毅然とした対応をすることを明言する」
     堅いながらも「文句があるならハッキリ言ってみろ」と言い放った天狐に、報道陣も苦い顔をする。
    「白猫党からの襲撃も予想されていますが、そちらについては何か対応を?」
     この質問に、天狐は一瞬ニヤッと笑ったが、すぐに堅い表情を作ってみせた。
    「ソレについて話す前に、まず、共和国と白猫党領との国境東側に本日、実際に白猫党軍が差し向けたドローン部隊が出現したコトを知らせておこう」
    「現れたんですか!?」
     ざわつく報道陣を制し、天狐は得意げに話を続けた。
    「ところが午後4時頃、同軍は突然活動を停止した。当局の調査によれば『機器の故障』が原因だそうだ。加えて白猫党領から発射されたと思われる飛翔体が2つ観測されたが、こちらも当国に着弾するコトなく、央北東部沖20キロ地点に落下したと連絡を受けた。以上のコトから」
     天狐はカメラに向かって、今度ははっきりと笑顔を見せた。
    「白猫党に対する世間一般の評価に対し、実際の軍事力は相当劣っているものと推測される。いや、ハッキリ明言しよう。白猫党の軍事力はハリボテ同然、ご自慢のドローン機械師団もガラクタだらけだ。よって現時点では最低限、治安維持が可能な程度の防衛力で十分、ソレ以上の、つまり大規模な侵略を想定した過剰戦力を構える必要はないものと考えている。他の国に対してするのと同程度の備えで十分だろうと、大統領以下閣僚陣はそう考えている」

     天狐のこの強気な発言と――そして「たまたま現地に居合わせた人間が撮影した」と言う体で提供された――完全停止し、ただの鉄クズと化したドローン数百機の映像は全世界に報道され、白猫党は軍事面での評価を大きく落とすことになった。
     713年の統一以降、白猫党の外貨獲得手段は軍事兵器の輸出が大半だったが、この一件が報道された途端、取引のほとんどが輸入国側から「信頼性に欠ける」として、ことごとく打ち切られてしまった。
    「よって本年以降の貿易は、赤字に転落するものと見られています。領内需要も党統一以降、横ばいの状況が続いていることから、歳入額の増加も見込めません。一方、軍事支出は昨年、本年と増加傾向にあり、歳出額の拡大に歯止めがかかっていない状況です。
     結論として党財政の赤字は拡大の一途をたどっており、5年後の長期党債償還時点で債務不履行を生じさせる可能性があります」
     財務部長からの報告を受け、「閣下」は冷え切った目を党執行部一同に向けた。
    「これは大変憂うべき事態。打開策は?」
    「党員管理部としては増税と新規積立プランの実施を提案します」
    「増税に関しては却下。既に所得税は最低税率59%、法人税は最低税率68%、消費税に至っては160%に達している。その他主要な税金に関しても、これ以上の増税を行えば社会秩序の維持に関わる。積立プランについては実施を進めなさい」
    「政務部としては党のイメージ回復と貿易体制の見直しを提案します」
    「急務。早急に実施しなさい」
     淡々と報告と返答を繰り返し、一通りの意見が出揃った後、「閣下」は執行部全員の顔を見渡し、一層冷え切った声を発した。
    「党体制は現在大きく揺らいだ状況にある。しかし内的要因によるものではない。である以上、領内に対して問題の解決を求めてはならない。その点を誤らないこと。我々の抱える問題はあくまで外的要因、即ち現在我々には明確に敵が存在し、その敵から直接的・間接的を問わず攻撃を受け続けていることにある。
     であれば解決策は一つ。可及的速やかに敵を殲滅すること」

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    元ネタ解説とかいいから

    双月千年世界

    ここ数年なんでか恒例になったハロウィンイラスト。



    今年は小鈴。ハロウィン+チャイナ=キョンシーと言うことで。
    ただ、実のところ原作中で、チャイナ服を着た描写は一回もないんですが……。



    そろそろ街がカボチャ色に染まり始めたので、
    考察班のみんなもお祭りに向けて仮装の衣装合わせを始めた。
    「とりあえず面白そうなコトには全力で乗っかる」のが彼女たちの流儀だからだ。

    小鈴「あー、このカッコ、元ネタはなんかのオバケなのね、ふーん」

    スマホを片手にぽつりと漏らした小鈴の一言に、パラが反応する

    パラ「キョンシー(僵屍)は、中国の死体妖怪の一種で、硬直した死体であるのに、長い年月を経ても腐乱することもなく動き回るもののことを申します。中国では、死体は長い時間が経過すると、悪霊になって人に害を与えるという俗信がございます」

    小鈴「あー、いいから。そーゆー元ネタ解説とかいいから。
    ココんトコやたら長ったらしい解説聞かされまくって辟易してんのよ」

    シュウ「でしょーねぇ」

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    緑綺星・機襲譚 10

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第156話。
    静寂の結末。

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    10.
     その瞬間まで、制御室にいた誰もが勝利を――HSBMが直撃し、スチール・フォックスが爆発四散する光景がモニタに映し出されることを確信していた。
     ところが着弾しようかと言うその瞬間に、モニタの映像がぶつっと途切れた。
    「……ん、んん?」
     モニタをわしづかみにしていたグスマンは、慌ててモニタから手を離し、「壊れたか?」とつぶやく。が、オペレータたちのモニタもほぼ真っ黒になっていたのを見て、今度は「どうした?」とつぶやいた。
    「現地からの映像、いえ、データ通信がすべて途絶しました。復旧しません」
    「カメラの故障か? ドローン全部が?」
     あぜんとした顔で尋ねるグスマンに、オペレータたちも困惑した様子で応じる。
    「カメラだけではなく、ドローン自体に問題が発生した模様です」
    「通信の復旧を試みていますが、まったく応答がありません」
    「MPSも同様です。全員からの通信が途絶しました」
    「衛星からの画像を確認します。……え?」
     と、オペレータの一人が手を挙げる。
    「現地の映像来ましたが、あの、……着弾した様子がありません」
    「ちゃ、着弾してない? HSBMがか?」
    「衛星からの映像を確認したところ、HSBMは飛来した方向からそのまま東へ向かい、央北東部沖上空を20キロ程度進んだところで着水した模様です」
    「みっ、見せてくれ!」
     グスマンの席のモニタに、衛星画像が表示される。グスマンはモニタに食い入るようにして目をこらし、確かにオペレータの言う通り、現場にクレーターや焼け跡がなく、また、エヴァが潜伏していた廃ビルも、崩れず残っていることが確認できた。
    「……これは、……なんだ? 何が起こった?」
    「不明です。……通信回復に失敗。ドローンは完全に破壊されたものと考えられます。MPSとの通信も同様です」
     部隊が壊滅したことが確定的となり、制御室はしん、と静まり返る。その静寂に、「閣下」の冷え冷えとした声が響いた。
    「作戦失敗と判断。全員に処罰を検討する。以上」
    「……っ」
     涙目のグスマンの横を音もなく通り抜け、「閣下」は制御室を後にした。

     現場に到着したエヴァは、すっかりただの置物と化したドローンと、ぼんやり突っ立ったままのMPS兵士たちの様子を確認して回っていた。
    「ドローンもMPSも軒並み棒立ち。死者数はどうやらゼロだ。成功したみたいだな。ジャンニは、……いたら死んでるか」
    《そらそうやろ。あんなん至近距離で受けてたら、落っことされてそのまんま地面に真っ逆さまやん。スーツん中でミックスジュースになってまうわ》
     エヴァのインカムに、ジャンニの声が届く。
    《ギリギリで戻ってきたから、俺はバッチリ無事やで。エヴァさんも無事みたいで良かったわ》
    「対電磁シールドをカズちゃんにもらってたからな。おかげでインカムも無事だ。ミサイルはどうなった?」
    《こっちで観測してたが、どーやら海の方まで行ったみたいだぜ》
     天狐も会話に加わり、状況を伝える。
    《爆発はしてねーみたいだから、着水してそのまま海の底ってトコだろーな。ってワケで作戦終了だ。一聖に迎えに行かせるから、お前さんはソコで待っててくれ》
    「了解。EMP装置は回収しておくか?」
    《ああ。もう炭化してるだろーが、万が一誰かに拾われると厄介だからな。多分、ジャンニが最後にいた辺りの真下に転がってると思うが》
    「ああ、発見した。ただ、まだ煙上げてるから素手では触れそうにない」
    《発見したんならソレでいーよ。一聖に持って来させるし》
    「分かった。……と」
     特区の方から一聖が歩いてくるのを見つけ、エヴァが「こっちだ」と手を振る。
    「EMPも見つけておいたぞ」
    「ありがとよ。……ってやっぱこーなったか。現状、一回使ったらソレまでか。カネのかかる爆弾だな」
    「だが効果は絶大だ。白猫党のドローン軍団が、このざまだからな」
     そう言ってドローンを拳で小突くエヴァに、一聖はニヤニヤ笑いながら、黒化したその装置をつま先でちょん、ちょんと蹴った。
    「電磁パルス(EMP)発生装置――瞬間的に超強力な電磁波を発生させて電子機器をブッ壊す、今回の作戦第二のキモだ。しっかり役に立ってくれたぜ、ケケケ」



     こうして白猫党による特区襲撃は――実際には「セブンス・マグ」による応戦が行われたが、それは公にはされず――表向きには「白猫党が投入したドローン兵器が攻め入る直前に故障し、ミサイルも着弾することなく海に向かって飛んでいった」と報じられた。
     加えて帯同していたMPS兵が大量に発見・保護され、彼らの素性が調べられたことで、白猫党が人間を大量かつ非倫理的に集めていた疑惑が明白となり、白猫党に対する国際的評価は一層下落。関係があった中央大陸外の国から、取引停止と国交断絶が相次いだ。
     戦闘自体においても、そして戦闘後の評判においても、白猫等は惨敗を喫した。

    緑綺星・機襲譚 終

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    緑綺星・機襲譚 9

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第155話。
    偽装作戦と、もう一つの決定打。

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    9.
     時間は、侵攻開始直前に戻る。
    「着る前から分かる。無理だ」
     スチール・フォックスのパワードスーツを前にしたエヴァはそう答え、首を横に振った。
    「だよなー」
    「確かにテンコちゃんの言う通り、スーツ内に別の人間がいるとなれば多少はAIをたばかることもできるだろうが、そもそもこれはジャンニ専用に設計してるんだろう? 私とこいつじゃ体格が違いすぎる」
     親指で差され、彼女の後ろにいたジャンニも同意する。
    「エヴァさんの方が背ぇ高いし、ムキムキでスタイルええもん。こないだ一緒に筋トレした時なんか、俺の倍の重り引き上げとったし」
    「それは盛りすぎだ。せいぜい1.5倍だろう。ともかくその案は却下せざるを得ない。着られる人間がそもそもいないんじゃ、机上の空論だ」
    「せやけど前にミサイルで狙われた時、カズちゃんが着てたやん? ほんならカイトとか行けるんとちゃうん? 俺より背ぇ低いし」
     ジャンニの提案に、今度は一聖が首を振る。
    「アレは緊急事態だったから、無理矢理着込んで自動操縦で動かしてたんだよ。実際、オレはスーツん中で宙吊り状態だったし。そんな状態でマトモに戦うのは無理だ」
    「自動操縦ができるなら、それで十分では?」
     エヴァの質問に、一聖はもう一度首を振った。
    「相手はAIだからな。機械的動作はすぐ解析されちまう。人間の反射だとか反応とかの『ゆらぎ』『ブレ』があるから、解析を難しくさせられるんだ。コレは相手のAIを翻弄させて時間稼ぎするための作戦だからな。すぐ解析されちゃ、意味がない。同様の理由でエヴァや海斗用に新しくスーツを設計するってのもナシだ。大きさが違うんじゃ、すぐバレちまう。
     そもそもスーツを新しく作るって方法は、別の理由からもナシだ。こんなもんが2つも3つも作れるって判明したら、相当デカいトコがバックに付いてるってバレちまう」
    「その線から探られれば、我々がテンコちゃんの元にいることも判明しかねない。こっちに直接ミサイルを撃たれでもすれば、無関係の人間にも被害が及ぶ。トラス王国の批判なんかできる立場じゃなくなるだろう」
     エヴァの言葉にうなずきながら、一聖は話を続ける。
    「バレるにしても、せめて特区が独立してからじゃなきゃダメだ。天狐が画策してる最中に『セブンス・マグ』とつながってるコトが発覚したら、独立後の軍隊設立がままならなくなるだろーしな。『あいつらに全部任せりゃいーじゃん』っつって」
    「国家が防衛力を自前で構えられないんじゃ、国防も何もあったもんじゃない。結局、独立後に攻め落とされることになる」
    「そーゆーコトだ。……っと、話が逸れちまったが、とにかくこのスーツの中にジャンニ以外が入らなきゃ、偽装作戦は成立しない。問題はその誰をどーするか、だ」
     一同が打開策を見出だせず、揃ってうなっている中、シュウが手を挙げた。
    「あのー、こないだわたしの先輩から、『誰にでも化けられる人がラコッカファミリーにいるらしい』って話、聞いたんですよー。ホントかどうかは分かんないですけど、もしホントならソレ、行けるんじゃないですか?」
    「ふーん……? じゃ、オレが一応当たってみる。ダメ元って感じだけども」
     そう言うなり天狐は「テレポート」で姿を消す。残った一聖はスーツを眺めながら、話を続けた。
    「もしシュウの話がバッチリ上手く行ったとしたら、作戦は半分成功したようなもんだ。そっちについてはコレ以上話してもラチが明かねーから、残る半分について、今のうちにちゃっちゃとまとめとくとすっか」
    「残り半分?」
    「ああ。偽装作戦が上手く行ったとして、ソレでどーにかできんのはせいぜい2、3日ってトコだろう。いくらなんでもご自慢のAIが全然機能しねーってんじゃ、スチフォが偽物だって分かるだろーしな。
     逆に言えば、その偽装作戦に気付いて態勢立て直してからが本番になる。この段階に来た相手は、確実にスチフォを破壊しに来るだろう」
    「スーツが1着と考えているなら、なおのこと破壊しようと試みるだろう。それこそミサイルでも何でも使ってな」
    「それはやりすぎとちゃう? 流石にないやろ」
     ジャンニがそう突っ込んだが、エヴァは肩をすくめて返す。
    「昨年、白猫党領のオライオン設計局を襲撃・壊滅させた時のことを覚えているか? 新型ミサイルの試作データを発見したところだ」
    「あー、なんやったっけ、超音速ミサイル? やっけ」
    「正確には『極超音速ミサイル』、マッハ5以上の巡航速度で目標物へ向かうミサイルだ。発見したレポートには既に発射試験も終わり、実戦配備に向けての量産体制を申請予定であると記載されていた。設計局自体は潰したが、ミサイルのデータが党本部に送られている可能性は十分ありえるし、あれから相当時間が経っているから、実戦配備されていてもおかしくない。
     そして以降の襲撃でそれに該当する兵器が使用された様子はない。と言うより、『長い7世紀戦争』をはじめとして大規模な戦争が終息した今、使う機会がないと言った方が正確だろう。そこに来て、通常兵器で太刀打ちしきれないスチール・フォックスが出現したとしたら? 実戦投入のいい機会と考える可能性は、十分にある」
    「ま、ミサイルは行き過ぎでも、相当大掛かりな兵器を投入してくるであろうコトは容易に予想が付く。恐らくは白猫党お得意の、AIによる遠隔自動操縦機能を搭載したヤツが、な。
     ソコで第二の作戦だ」

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    緑綺星・機襲譚 8

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第154話。
    特区防衛戦、最終局面。

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    8.
     侵攻6日目――さらに巨額を費やしてドローンとMPS兵を拡充したグスマンの部隊は、不退転の決意で侵攻に臨んでいた。
    「今度こそ、成功させますので」
    「そうでなくては困る」
     この日は「閣下」も制御室に臨場し、グスマンの真横に付いていた。
    「『トイ・メーカー』から話は聞いている。HSBMを使用することなく作戦完遂することを期待している」
    「はっ……」
     額に浮かぶ汗を拭いつつ、グスマンは命令を下した。
    「全軍前進! 今日こそ制圧するぞ!」
    「了解!」
     オペレータたちの声にも緊張の色が交じる中、侵攻が開始される。そしてほどなく、カメラにあの金と黒のパワードスーツが映し出された。
    「対象SF出現!」
    「特殊戦闘モード移行せよ! 対象SF改実行だ!」
    「了解!」
     ドローンとMPSの照準が相手に定められ、集弾攻撃が展開される。
    「発射数25500発中、22924発命中! 命中率91.7%です!」
    「よしッ!」
     数日ぶりの手応えに、グスマンの顔色も明るくなる。
    「効果はどうだ!?」
    「カメラ映像を解析した結果、頭部装甲に微細な亀裂が発生したことを確認! 左胸部の装甲にもダメージが見られるそうです!」
    「よし、よし、よし……! いいぞ、畳み掛けろ!」
    「りょうか、……なっ!?」
     応じかけたオペレータが戸惑いの声を上げる。
    「ドローンが1基、破壊されました! 対象SFによる攻撃ではありません!」
    「何!? ……いや、これは予想が付く。SFの仲間だ! どこからどうやって攻撃している!?」
    「解析の結果、東南東の方角688メートル、特区内の元12階建て廃ビルの7階部分から、12.7ミリ対物ライフル弾による攻撃と判断されました! AIによれば36%の確率で対象EAであると、……もう1基破壊されました! 確率、68%に増加!」
    「排除しろ!」
    「了解! 排除します!」
     飛行型ドローンが自陣から飛び出し、廃ビルに向かおうとするが、これも特区内に踏み入る前に撃墜されていく。
    「相手は本当に2名なのか!?」
    「たった2名でこの軍勢を抑え込むとは……!」
    「……」
     と――静観していた「閣下」が、ぼそっとつぶやいた。
    「評価……マイナス」
    「……っ」
     そのつぶやきはすぐ近くのグスマンだけにしか聞こえなかったものの、当然、グスマンは戦慄・狼狽した。
    「み……ミサイルだ。HSBM発射を戦略兵器管理部に要請しろ。SFと廃ビルに撃ち込め!」
    「りょ、……HSBMですか!? 過剰戦力では!?」
     聞き返してきたオペレータに、グスマンは絶叫に近い声で命令した。
    「撃つんだ! 何がなんでも仕留めろッ!」
    「え、う、いや、しかし」
     オペレータは一瞬、グスマンと、その隣にいた「閣下」の顔をチラ、と確認し――彼女のひんやりとした目を見て――慌ててモニタに向き直った。
    「HSBM、要請します! ……承認されました! 目標、対象SFおよび対象EA! 発射!」
     グスマンの席のモニタに、HSBM2発の航路が表示される。それを眺めていた「閣下」が、今度ははっきりとグスマンに声をかけた。
    「HSBMの使用は望ましくないと、私は言っておいたはず」
    「し、しかし」「しかし」
     反論しようとしたグスマンを制するも――やはりひんやりとした口調ながら――「閣下」はこう続けた。
    「もしこの攻撃が結果として功を奏したのであれば、私はあなたの判断をプラスに評価する」
    「……もったいなきお言葉、ありがとうございます、閣下」
     放たれた2発のHSBMは央北地域を一瞬で西から東へと駆け抜け、数秒もしないうちに、特区の西上空に姿を現した。
    「これで決着だ! 蒸発しろッ、SF、EA!」
     着弾の瞬間、グスマンは椅子から立ち上がり、モニタをわしづかみにして、大声で叫んでいた。

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    緑綺星・機襲譚 7

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第153話。
    「トイ・メーカー」の所見。

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    7.
    「で、僕のとこに来たと」
    「ああ」
     白猫党本部内、AI包括管理部――モニタとサーバで埋め尽くされた部屋を訪ねたグスマンは、この部署の最高責任者「トイ・メーカー」にもう一度、今日までの状況を説明した。
    「AIがポンコツになった、ってのはひどいなぁ」
    「トイ・メーカー」は苦笑しつつ、目の前のモニタに親指を向けた。
    「僕が組んだAIには今のところ、重度の不良や不具合は見られない。この5日間の、君が運用した際のデータも解析したけど、AI自体は問題なく動いてたよ」
    「じゃあ、なんで弾が当たらなかったんだ!?」
     憤るグスマンに、「トイ・メーカー」は「落ち着けよ」と缶コーヒーを差し出す。
    「ま、結論を言う前に、1日目と2日目の状況をそれぞれ解析した結果を見てもらうよ。
     1日目、特戦モードでSFに集弾攻撃した結果、88%の命中率を叩き出してSFを撃退せしめた。これはまあ、文句も問題点もない。僕たちにしてみれば当たり前の結果だ。問題は2日目。この時は何故か、1%程度も当てられなかった。……けど、これも当たり前っちゃ当たり前なんだ」
    「何故だ?」
    「集弾攻撃だもの。攻撃があんまりにもピンポイントすぎるから、ちょっとでも相手の行動がAIの予測とズレてたら、そりゃ全部外すよ。テストのヤマカンみたいなもんさ。
     で、ここで問題になるのが、『AIの予測と相手の行動にズレがあった』って点。自慢させてもらうけど、僕のAIはかなり精度が高い。人間一人に限定してデータを集めれば、数回程度の交戦で集弾攻撃の精度を9割以上にできるはずなんだ。1日目の結果通りだね。だけどこのデータを別の人間に適用した場合、1割どころか1%だって当てらんないだろうね。人間は一人ひとり、体格も動きのクセも違うからだ。オーダーメイドのスーツを他人が着ようとしても、ひじが突っ張ったり裾が長かったりでヘンテコに見えるのと一緒さ。
     つまり結論から言うと、1日目と、2日目以降のSFの中に入ってる人間は別人だ」
    「トイ・メーカー」の予測を聞かされ、グスマンは目を丸くした。
    「別人!?」
    「パワードスーツ自体は同一だから、それでAIが誤作動を起こしたんだ。君たちもそうみたいだけど。2日目にすぐ僕のところに駆け込んできてくれれば、3日目以降の惨敗はなかっただろう。そこは完全に君の落ち度だね。
     ともかく2日目以降のデータを別に集計して、特戦モードを修正してある。これなら1日目と同様、命中させられるだろう。もちろん、中身が同じ人間だったらの話だけど」
    「同じ人間じゃなかったら?」
    「解析したところ、2日目以降は同一人物らしいよ。AIがそう言ってる。1日目の、つまり今まで会敵した奴が出てきた場合は、自動で旧パターンに切り替える。もちろん新たに3人目が現れるってパターンも考えられるけど、その時はAIが『中身が違う』って教えてくれるようにした。そしてこのパターンが検出された場合――何がなんでも撃墜するための最終手段として――最寄りの基地から拠点爆撃用のHSBM(極超音速弾道ミサイル)を発射するようにも設定しておくよ」
    「HSBM!? そ、それは、ちょっと」
    「やりすぎ? それとも高く付くって? 僕に言わせればどっちの意見もナンセンスだ。
     白猫軍はこれまでSFに、かなり手を焼かされてきた。こいつに無茶苦茶されたおかげで放棄せざるを得なくなった計画や基地は、1つや2つじゃない。ここで仕留められれば、今後の軍事展開に大きな効果が期待できる。仕留められる機会があるなら、どんな手段でも使うべきだ。そもそも同じスーツを別の人間が着回してることから、スーツはあれ一着だけだと考えられる。あれさえ破壊してしまえば、正義の味方くんはもう二度と僕たちの邪魔ができなくなるだろう。
     費用に関して言えば、君は既に12億クラムを溶かしてる身だ。HSBM1発2~3000万ってとこだけど、12億溶かした人間からすれば、もはや大した額じゃないだろ? それにHSBMはまだ実戦投入できてない代物だ。実際に使ったデータが提供できれば、10回試験するよりよっぽどコスパがいい。予算面でのアピールにもなるし、となればカネ勘定大好きな『閣下』に喜んでもらえるってメリットがある。
     それでもやりたくないって言うなら、君は明日どんな顔して『閣下』に結果を報告するつもりなの? 正直ここまでやらなきゃ、SFを狩るのは不可能だと思うよ。ひいては明日の作戦成功もね。これはAIの予測じゃなく、僕の予測になるけど」
    「うぐ……」
     グスマンは渡された缶コーヒーを一息に飲み干し、「分かった」と応じた。

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    緑綺星・機襲譚 6

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第152話。
    AIの異様な不調。

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    6.
     報告を受け、グスマンは首をかしげた。
    「あ……? なんで26発だけ撃ったんだ? まさかAIが、たったそれだけで十分と判断したのか?」
    「ち、違います。26700発撃ち込んでるんです。命中が、26発です」
    「……なんだって!?」
     グスマンが唖然としている間にもう一度攻撃が行われたが、結果は変わらなかった。
    「さっ、38発!?」
    「今度は何発撃った!?」
    「同数です! 命中率微増ですが、やはりほとんど当たってません!」
    「バカな!? 何かの故障か!? それともAIの異常か!?」
    「分かりません!」
     状況が把握できないままオペレータたちは漫然と攻撃を繰り返すが――千発単位で集弾させてどうにか相手の装甲を凹ませられる程度の弾を数発、数十発しか当てられていないのだから当然のことだが――一向にダメージを与えられない。
    「MPS兵の弾が尽きました!」
    「ドローンの被撃破率、10%を超えました!」
    「このままでは戦闘陣形を維持できません! どうしますか、指揮官!?」
    「うっ……うぐぐ……ぐっ」
     もはやゲーム画面に目を通す余裕もなく、グスマンはがたんと椅子を倒して立ち上がり、真っ赤な顔で怒鳴った。
    「特殊戦闘モード止め! 一般戦闘モード、いや、セミオートに切り替えろ!」
    「えっ!? し、しかし指揮官……」
    「AIアシストを切るんですか!?」
     ためらうオペレータたちに、グスマンはもう一度叫ぶ。
    「何がなんだか分からんが、AIがポンコツになってるとしか思えん! アシストは無駄だ! 切れ! 自分たちで狙いを付けた方がまだマシだ!」
    「りょっ、了解!」
     命じられた通り、オペレータたちは対スチール・フォックス用の戦闘モードからセミオート――敵の位置捕捉と照準設定をAIに分担させる、手動操縦モードに切り替える。だがこの戦術転換も功を奏さず、被害が拡大していく。
    「弾丸命中率は10%前後に上昇しましたが、効果が見られません!」
    「被撃破数、さらに上がってます! 30%を超えました!」
    「陣形崩れました! 作戦遂行可能予測、50%を切っています!」
    「指揮官、どうしますか!?」
    「……~ッ」
     グスマンは立ち上がったまま、前方をただただにらみつけていたが、やがてあきらめに満ちた声で「撤退しろ」と告げた。

     こうして白猫軍は国境直前であっけなく撃退され、彼らの油田掌握計画の完遂に、大きな壁が立ちはだかった。
     だが、作戦失敗の責を問われることを恐れたグスマンは、特殊戦闘モードが機能しなかった件なども含めた一切を上層部へ報告しないまま、翌日以降も攻めの一手を打ち続けた。しかし結果は変わらず、侵攻開始から5日が経過する間にドローン300体強を破壊され、銃弾50万発以上を無為に費やした末――ようやく軍本営がこの異常な浪費に気付き、意地を張ってほとんど制御室にこもりっぱなしになっていたグスマンを拘束・連行した。

    「この5日間にあなたの指揮によって消費された弾薬、そして修復・補充したドローンの総額は12億クラムに相当する。だけどあなたの部隊から成果が上がったと言う類の報告は一切受けていない。状況を詳細に報告しなさい」
    「閣下」の前に引き出されたグスマンは、憲兵たちに小銃を向けられながら、しどろもどろに答えた。
    「じょ、状況は、ですね、ええ、ええと、何と言いますか、じゅ、順調と、言えなくも」「セルヒ・グスマン三級党員」
    「閣下」は冷え切った眼差しを、グスマンに向ける。
    「状況だけを詳細に報告しなさい。あなたの感想は不要」
    「……我々は、難民特区国境のすぐ手前まで進軍しましたが、そこで会敵しました。相手は1名です。通称『対象SF』と呼ばれている、狐のパワードスーツの人物です」
    「対象SFに撃退されたと? 対象SF用に設定された特殊戦闘モードがあったはずだけど、使用したの?」
    「当初は使用しました。1回目の会敵では成果を上げましたが、2回目以降はほとんど命中しなくなり、セミオートでの戦闘に切り替えました」
    「その後の成果は?」
    「特殊戦闘モードに比べれば効果を確認できましたが、撃退できるほどのダメージを与えられず、……その……次は勝てる、勝ちうると考えて……ずるずると……」
    「では対象SFを撃退できないまま漫然と、弾薬とドローンを浪費したと言うことか。結構」
     直後、憲兵たちがグスマンに向かって小銃を構える。
    「ひっ……」「待ちなさい」
     が、「閣下」は手を挙げ、憲兵を制する。
    「もちろん、このままの失態が続くのであれば、あなたにはしかるべき責任を取ってもらう。しかし緒戦で勝利したことは確か。あなたに作戦遂行が不可能であるとは考えていない。だからあなたにもう一度だけ、機会を与える」
    「き、機会?」
    「5日間連日で交戦したことから、明日も対象SFが現れる可能性は非常に高い。それを次こそ撃破すること。できなければ今度こそ、責任を取ってもらう」
    「はっ、はい! しかと! しかと拝命いたしました!」
     真っ青な顔で敬礼したグスマンに、「閣下」はひんやりした声で「よろしい」と答えた。
    「では明日の作戦を行う前に、AI包括管理本部長とミーティングを行うこと。でなければ明日の結果も今日までと変わらないと予測する。私から連絡しておく。あなたは即時、彼の元に向かうこと。以上」
     そう言い残し、「閣下」は部屋を後にした。

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    緑綺星・機襲譚 5

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第151話。
    本格侵攻の前に。

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    5.
     誰にも妨害されないまま、白猫党は余裕綽々で前線基地を構築した。
    「昨日の……対象SFはなんだったんでしょう?」
    「突然やって来てドローンを何台か破壊しただけで、結局逃げましたよね」
     作戦開始前のブリーフィングにて、前日に出現したスチール・フォックスのことがオペレータたちから指摘されたが、グスマンも首をかしげていた。
    「俺にも見当が付いてない、と言うのが正直なところだ。
     昨年から今年1月までの間に、奴は7回我々白猫党の前に現れ、遊撃的に攻撃してきた。だがその7回の交戦に明確な関連性が見られなかったことから、『独善的な正義感を充足すべく、国際的評判の芳しくない我々を漫然と攻撃目標に定めているのだろう』と言うのが、戦略研究室の見解だ。俺もこれに同意見であり、前日の出現はおそらく我々が他国への侵攻を開始したことを奴なりに危惧し、英雄主義的行動に出たのだろうと考えられる。
     だが結局、奴は我々の猛攻に圧されてあっさり逃走したし、前線構築の際にも一切妨害に現れなかった。もしかしたら今日も現れるかも知れないが、その時はまた、集中砲火で叩き落としてやれば良い。仲間がいると言う情報もあるが、いずれも歩兵レベルの存在だと考えられている。ドローン部隊に対しては、あまりにも無力だ。結論として対象SF、そして奴の仲間たちの存在は、取るに足らない要素と言えるだろう」
    「今回の油田開発にはミッドランドが関わっているとの情報もありますが、我々が本格的に踏み入った場合、行動に出るのでは?」
    「それも検討した結果、可能性は極めて薄いと判断されている。ミッドランドは永世中立国を宣言している央中の国家だ。だが今回の件に、即ち央北の地政学上の問題に軍事的・政治的に介入するようなことをすれば中立宣言の破棄、侵略行為と捉える者も現れるだろう。中立宣言を破り他国侵攻を行ったとなれば、ミッドランドの評判は地に落ちる。中立宣言は信用が物を言う。『今回だけ中立を破る』などと言うような、姑息な手は通用しない。一回反故にしてしまえばそれまでだ。ミッドランドがそこまでのリスクを負って行動に出ることはあるまい。
     加えて今回の件はミッドランド政府や当主のラーガ家が主導したものではなく、テンコ・カツミ氏の独断による行動だ。彼女の行動で国家に多大な迷惑がかかるとなれば、関係を切ることもありうるだろう」
    「ではテンコ氏が単騎で報復する可能性もあるのでは……?」
    「それも結果的にはないものと考えられる。もしテンコ氏が報復した場合、我々は――実態がどうであろうと――彼女がミッドランド政府からの支援を受けて計画を実行したと喧伝するし、そうすることは相手方も予想するだろう。その悪評を撤回するには、ミッドランドはテンコ氏との関係を切るしかない。
     関係が切れ孤立すれば、テンコ氏はミッドランドを――即ち堅固に守られた城を自ら出ることになるだろう。そうなれば我々にとってはどこまでも有利だ。一人になった彼女を白猫党全軍が狙うとなれば、いかに彼女が『悪魔の娘』であったとしても、ひとたまりもあるまい」

     天狐の性格と実像については今ひとつ捉えきれていない、いささか正確性を欠く予測ではあったが――ともかくこの時点までは、彼らの予測通りに事が運んでいたのは確かだった。そしてこの予測が正確であると確信した彼らは、ふたたび特区への侵攻を開始した。
    「ドローン全機、攻城モードに移行。国境線の破壊を開始します」
     既に経年劣化と密入国の横行で半壊しているフェンスの前に整列したドローンが、一斉に銃火器を構える。そしてオペレータが実行命令を下して0.5秒後、フェンスは木っ端微塵に吹き飛ぶ。
    「対象の破壊完了。攻城モードを終了します。続いて掃討モードに……」
     次の命令を送ろうとしたその瞬間――金と黒のパワードスーツがふたたび、カメラに映った。
    「対象SF現れました!」
     オペレータから報じられるが、昨日と打って変わって制御室に緊張感はなく、グスマンの反応も鈍いものだった。
    「またか。特殊戦闘モードで追い払え」
    「了解。特殊戦闘モードに移行します」
     ドローンとMPSの装備する銃火器の照準がすべて相手に合わせられ、昨日と同様に集弾攻撃を放つ。ここまでは昨日とほとんど変わることもなく、今日も同様の結果になるものと、グスマンをはじめとする制御室の人間がそう信じて疑わなかったし、実際、グスマンももう既に、オンラインゲームを立ち上げていた。

     だが――。
    「……え?」
     モニタに表示された数値を見て、オペレータたちは揃って目を丸くした。
    「26発?」
    「何がだ?」
    「め、命中数です。弾丸の」

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    緑綺星・機襲譚 4

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第150話。
    ドローン部隊の猛攻。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    4.
    《警告します。DF712F-2366に耐久能力の1311%のダメージを確認しました。ダメージコントロール失敗。復帰失敗。同機との接続が切断されました。同機は破壊されたと判定します》
     オペレータたちの画面に損害状況が表示され、制御室に緊張が走る。
    「敵襲です!」
    「敵襲ぅ? 相手がいるのか? 故障の可能性は?」
    「閣下」にたしなめられてなおオンラインゲ―ムに興じていたグスマンは、面倒臭そうに応じる。
    「ダメージ1000%オーバーは故障の域を大きく超えてます!」
    「他機カメラからも撃墜の瞬間が確認できてます」
    「AI判断も敵襲だと言ってます」
     部下から苛立ち気味に返され、グスマンはようやくゲーム画面から顔を上げた。
    「じゃあ敵はどこにいるんだ?」
    「捜索中、……っ!」
     ふたたび現地のドローンから撃墜の報告が飛び、制御室は騒然とし始めた。
    「どっ、どこだ!? どこにいる!?」
    「早く探せ!」
     ドローンとMPS兵に付けられたカメラを総動員して、ようやくオペレータたちは敵を見つける。
    「あっ! 見つけました!」
    「『対象SF』です!」
    「SF!? あの特級警戒対象の!?」
     カメラに写った金と黒のパワードスーツ――スチール・フォックスの姿を確認し、ようやくグスマンも血相を変えた。
    「一般戦闘モードに移行だ! いや、特殊戦闘モード! 対SFだ!」
    「了解です!」
     オペレータたちがパソコンを操作し、スチール・フォックスへの攻撃を開始する。
    「一瞬ビビったが……まあ……我が白猫党が開発するAIは世界最高レベルの精度を誇る。これまで何度か交戦した記録を元に、対象SFの行動が細かく分析されているから、後はAIの判断に任せれば問題なく撃破できるはずだ」
     グスマンが自慢げにつぶやいた通り、AIに操作されているドローンとMPS兵は正確に、スチール・フォックスに向かって弾幕を展開した。
    「弾丸発射総数12750発、うち11256発の命中を確認。対象SF、射程距離外に離脱しました」
    「命中率88.3%か。まあ、そんなもんだな。被害状況は?」
    「ドローンが合計26基撃墜、37基が大破、中破以下は55基です。MPS兵に被害はありません」
    「データ通りだな。人を殺すのは嫌いらしい。……とは言えドローンの被害が多い。作戦遂行には不可欠だし、今日は威力偵察と言うことにして、特区境界線の西3キロまで退却させていい。破損したドローンは最寄りの基地に帰投させて、修理依頼と増援依頼を出せ。それから残ったドローンに周囲を警備させつつ、MPSに前線の構築を行わせろ」
    「了解です」
     こうして侵攻初日は、白猫軍が優勢な状況で決着した。



     1万発以上の弾丸を食らったものの、一聖と天狐が腕によりをかけて製作した唯一無二のパワードスーツである。
    《カズちゃ~ん……戻ったでー》
    「おつかれさん」
     胸と左肩の装甲が多少凹み、腕と肩の接合部分から火花を散らせてはいたものの、ジャンニは「テレポート」で無事にミッドランドへと帰還していた。
    「損害状況やけども、見たまんまやと思うわ。何べんか集中的に撃ち込んできよったせいで、シールド2、3回割られたわ」
    「ああ、記録してる。正確には6回だ。ま、装甲は神器化処理してっから、例えシールドなしでも、自動小銃や軽機関銃の弾くれーじゃ貫通はしねーがな。とは言え……」
     ジャンニが脱いだスーツをつぶさに確認し、一聖はため息を漏らす。
    「流石に千発単位で集弾されると、変形するか。案外、白猫党の武器とAIの性能もあなどれねーな」
    「言うても千発、二千発を一ヶ所に食らうとか、普通ないやん。ちっちゃい拳銃とかでもそんなんやってきよったら、同じように凹むやろ」
    「ソレが普通にされちまうから、あなどれねーんだよ。……ま、ソレでもコレくらいは織り込み済みってヤツだ。おかげで相手の戦略や行動も読めた」
     一聖はニヤッと、悪辣な笑みを浮かべた。
    「本番は明日からだ。目一杯、引っ掻き回してやろーぜ」

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    緑綺星・機襲譚 3

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第149話。
    進撃はモニタの向こう側で。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    3.
     王国軍全軍がストライキにより機能停止したことは白猫党側も当然察知・把握しており、彼らは早速この翌日から軍事行動に出ていた。
    《SD714B-1001~1060、巡航モードから警戒モードに遷移します》
    《DF712F-2301~2420、巡航モードから警戒モードに遷移します》
    《HD715E-1001~1120……》
     だが、兵員の全てをAI制御下に置く白猫党である。現場に指揮官はおらず、ドローン兵器とMPS兵士を乗せた無人トラックばかりが荒野をひた進んでいる。そしてその様子を安全な制御室内でモニタリングするオペレータたちを、いかにも偉そうな党章を胸に付けた青年指揮官が、後ろで監督していた。いや――。
    「……っしゃ、虹っ」
     真面目に働くオペレータたちを時折チラチラと確認しつつも、彼自身はこっそりオンラインゲームでくじを引いていた。
    「……ってなんだよ、結局Sレア1枚か? 看板虹演出でX出ないなんて詐欺だろ。せめてUくらい、……おっと」
     部屋の中に白いスーツの女性が入ってきたことに気付き、彼はこそっとパソコンを操作し、オンラインゲームの画面を隠す。
    「閣下、ご足労様です」
     立ち上がり、敬礼した指揮官に、その女性は冷たい視線を向ける。
    「遊んでた?」
    「……っ、い、いえいえいえ、何を仰いますやら。今は仕事中で……」
     ごまかそうとした彼の横に「閣下」がすい、と割り込み、キーボードをかちゃ、かちゃと叩く。途端にオンラインゲームのBGMが、部屋中に大音量で響き渡った。
    「これは?」
    「……も、申し訳ありません!」
     一転、深々と頭を下げた相手に、「閣下」は「構わない」と返した。
    「業務に支障が出ない限りであれば、余暇を楽しむ行為は許容する。もちろん支障があれば罰する。その上で確認する。現在、何か問題は?」
    「そ、それははい、問題ありません! 全く! 順調です! 万事順調!」
     ぺこぺこと頭を下げる指揮官を冷たい眼差しでしばらく眺めていた「閣下」は、冷え冷えとした声色を発した。
    「今回の作戦には多大な予算を割いている。完遂できなければ相応の責任を取ってもらう。必ず成功させるように。以上」
    「そ、それはもちろん!」
     床に頭をこすりつけるように平伏した指揮官に背を向け、閣下は部屋を出て行く。指揮官は扉が閉まったのを確認して、それから横柄な態度で椅子に座り、パソコンの音量を0に戻した。
    「……へーへー大丈夫でございますともですよ、閣下。これだけの物量をぶつけりゃ、どんな軍隊だって蹴散らせますって……」「それから」
     閉じた扉をもう一度開け、「閣下」が顔を覗かせる。
    「もしも予算を濫用・私的利用していた場合には、相応の処罰と請求を行う。以上。……了承している? しているなら返事をしなさい、セルヒ・グスマン三級党員」
     ひんやりとした目線を向けられた指揮官はもう一度立ち上がって敬礼し、「了解です」と消え入りそうな声で答えた。

     あまりにも職務怠慢な態度を晒していたグスマン指揮官であったが、彼が白猫軍の最重要計画である特区侵攻の際においてもなお、これほど気を抜いていたのは、無理からぬことだった。何故ならこの作戦において、白猫党の脅威になりうると考えられていた勢力はトラス王国軍のみであり、その王国軍ですらストライキにより――流石に王国領内に踏み入るようなことをしない限りは――銃弾1発すら撃ち込んでくる可能性がなかったからである。また、他に懸念すべき勢力として天狐の存在が挙げられたものの、これも結局は後述するとある理由により、脅威になるとは見なされていなかった。
     結果、もはや無人の野を行くがごとき態勢で東進を続けた白猫軍は、いよいよ難民特区に踏み込もうとしていたが――突如、低空飛行していたドローンの一つが火を噴き、墜落した。

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    緑綺星・機襲譚 2

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第148話。
    身の上話とヘッドハント。

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    2.
     ひとしきり泣いた後、ラックはぽつりぽつりと、自分の身の上を天狐に話した。
    「俺の……俺が『俺』になった時の、一番古い記憶は、どこか暗いところにいたってことです。俺は……俺の中には、色んな別の俺が、……別々の人間がいて、……それが、……なんでか、一つに『まとまった』んです。でも、まとまったのは俺一つじゃなかったんです」
     この時点で既に天狐は口をへの字に曲げていたが、こくりとうなずく。
    「イマイチ分かりにくいが……まあ、続けろ。どーにか解釈するから」
    「はい。……それで、俺とは別にまとまった奴が、俺に襲いかかってきたんです。なんで襲われたのか分かんなかったんですけど、でも、逃げなきゃ殺されるって思って、それで、必死で逃げたんです。暗いところを逃げて、逃げて、どうにか外に出て、森の中に逃げ込んで、どうにか相手を撒けたんです。でも相手は全然あきらめてなかったみたいで、その後も何度か俺の前に現れて、所構わず俺を襲ってきたんです。……その度に、どうにかごまかして作り上げてた俺の生活とか、人生とか、めちゃくちゃにされて、……その場にいられなくなって、逃げるしかなくって。多分、もう、200年くらい、その繰り返ししてて……」
    「200年逃げっぱか。なかなかキツいな」
     天狐はまたぽんぽんと、ラックの背を撫でた。
    「話を聞く限りじゃ、お前さんの変身能力は――おっさんが色んな形に変身できるって言うより、正確にはお前さんにそもそも『原型』が無いってコトか。今のその姿も……」
    「はい。あんまり目立ちたくないから、この姿にしてるだけで。誰だってこんなしょんぼりしたおっさんに、用もないのにわざわざ声かけませんから」
    「だろーな、ケケケ……。ところでその襲ってくる奴ってのは、何か分かってるコトはあんのか? 居場所とかは?」
    「さっぱり分かんないです。でも、相手は何故か俺のいるところが分かるみたいです。もしかしたら、念入りに調べて追ってきてるのかも知れないですけど」
    「名前は?」
    「多分なんですけど、オッドです。『まとまり』の中にそう名乗ってた猫獣人の記憶があって、その人とそいつ、同じ姿してましたから。襲われた時にも何回か、『ドクター・オッドと呼べ』みたいなこと言ってましたし」
    「オッド……ドクター・オッドか。ふーん……」
     天狐は意味ありげにうなり、それからラックに尋ねた。
    「ラック。お前さんが欲しいモノはなんだ?」
    「え?」
    「ぶっちゃけた話、何にでも化けられるお前さんが大富豪や銀行頭取にでも化ければ、好き放題に盗みが働ける。猫かなんかに化けてトラックや船にでも忍び込めば、世界中ドコにだって行けるワケだ。やろうと思えばこの世のあらゆるモノを手に入れられる能力を持つお前さんは、何を望む?」
    「……」
     ラックは頭を抱え、ぼそりとつぶやく。
    「俺の望みは一つです。……穏やかに、暮らしたい。バケモノだって後ろ指差されることなく、ひっそり生きていたいです」
    「だがドクター・オッドとやらはソレを許しちゃくれねー、と。おそらくお前さんが世界のドコにいようと、オッドは執拗にお前さんを探し出して、暴いてほしくねー秘密を白日の下に晒した上、殺しに来るワケだ。200年追っかけてくるよーなヤツが、いまさら『もういいやめんどくせえ』なんて都合良くあきらめやしねーだろーし。
     ソコで提案だが――オレに一つ、確実に安全な場所を提供できるツテがある。お前さんにソコで平和に暮らせる権利をくれてやる。もちろん、交換条件はあるけどな」
    「え……?」
     顔を上げたラックに、天狐はニヤッと笑って見せる。
    「オレのチームに入れ。お前さんのその変身能力を、オレの計画のために発揮してくれ。十分に働いてくれれば、お前さんに平和な生活を保証してやる。
     コレがこの克天狐が提示する、契約内容だ。どうする、ラック?」
     差し伸べた天狐の手を、ラックはがっちりとつかんでいた。

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    緑綺星・機襲譚 1

    緑綺星 第4部

    シュウの話、第147話。
    ホンモノのバケモノ。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
     トラス王国が偽の緊急出動を行う、その2日前――。
    「お前さんがラック・イーブンか?」
    「学校」の片隅でひっそり過ごしていたラックのところに、天狐が現れた。
    「あ、はい、ども、はい。……な、なんです?」
     ラックのことをじろじろと眺めている天狐に、ラックは困った顔を向ける。
    「妙なヤツだな」
     天狐はそう言いながら右目をつむり、光のない真っ黒な瞳をラックに向けながら周りをうろうろとしていたが、一転、けげんな素振りを見せる。
    「みょ、妙って、何がです?」
    「お前さん、ヘンなんだよ、オーラが。普通、オーラってのは感情に伴って色が変わるもんなんだが、……なんでお前さん、2色も3色もチラチラチラチラ重なってんだ? まるでお前さんの中に、人格が2つ3つあるみてーじゃねーか」
    「……っ」
     天狐の指摘に、ラックは顔を青ざめさせる。
    「そ、そんなことないでしょう。俺は一人です」
    「『どのお前さんが』そう言ってんだ?」
     天狐は両目を開き、ぐい、とラックに顔を近付ける。しばらく至近距離で見つめ合った後、ラックは目をそらしながら答えた。
    「……俺、……俺は、……時々、頭の中で、俺の隣に俺がいる、みたいな、そんな感覚になることがあるんです。多分、あんたの言ってる2人、3人ってのは、それが原因だと」
    「単純に二重人格だとか統合失調だとかってレベルの話じゃなさそうだな。詳しく聞かせてくれ」
    「……嫌です」
     ラックが断るが、天狐は折れない。
    「聞かせろ」
    「……」
     と、ラックの腕がピク、ピクと動く。
    「い、嫌です。言いたくないんで、どっか、行って下さい、本当、頼みますから、お願いです」
    「もしオレがこの場から離れなかったら? 殴りつけるつもりか?」
    「そ、そうなるかも知れないんで、早く、どっか、行って下さい」
    「断る」
     天狐はにやあっと悪辣に笑い、指をくいくいと曲げて挑発した。
    「殴りたきゃ殴ってみろよ。どーなるかは保証しねーけど、な」
    「……うう、……うっ、あ、……アッ、……ガアアッ!」
     ラックの右腕がぼこぼこと入道雲のように膨れ上がり、ぼっ、と風切り音を立てて、天狐の顔に向けて振り抜かれる。だが――。
    「ソレで全力か? 見掛け倒しだな」
     なんと天狐は人差し指と親指でちょこんと、自分の顔半分ほどに膨張したラックの右手をつまんでいた。
    「ウガァッ!?」
     ラックが腕を引こうとするも、天狐の二指は彼の拳をがっちりとつまんだまま離さない。
    「言っとくけどな」
     と、天狐は悪辣な笑みを崩さず、こう言ってのけた。
    「もしお前さんが島一つ分くれーに巨大化して襲ってきたって、オレは余裕で勝つ自信がある。いっぺん試してみるか? お前さんの全力、最大限、最大出力、100%中の100%を振り絞ってみて、オレを一発でも殴れるかどーかを、な」
    「グアッ……ガッ……う……うう……ううっ」
     巨木のようだった腕がしぼみ、元のしょぼくれた小男に戻ったところで、天狐は優しげな声で諭す。
    「分かっただろ? いや、悟ったっつった方が正確だろーな。もしマジに島一つ分の怪獣に化けたとしても、オレには絶対に敵わないってコトが」
     ラックはへなへなと崩れ落ち、天狐の足元に平伏す。
    「……なんでです……俺……俺は……ば……ばっ、バケモノ……なのに……」
    「本物のバケモノがどーゆー存在か、お前さんはマジに知ってるつもりなのか?」
     天狐はニヤニヤと笑い、どこからか取り出した鉄扇でラックの薄い頭をぺちぺちと叩いた。
    「オレに言わせりゃお前さんなんぞ、半世紀前の特撮映画に出てくる着ぐるみ怪獣と変わりゃしねーよ。眼の前に現れたところでコレっぽっちも怖かねー、子供だまし同然のドコにでもいるよーな小僧さ。
     だから素直に全部話してみろよ、この『ホンモノ』である克天狐ちゃんサマに、な」
     ラックはぽかんとした顔で天狐を見上げ――突然、泣き出した。
    「うっ……ふぐっ……うひっ……ひっ……俺……俺は、に、人間、です、か……?」
    「オレに比べりゃずっと人間だろーよ」
     天狐はラックと同じ目線までしゃがみ込み、彼の背中をぽんぽんとさすった。
    「がっつり涙流して落ち着いたら聞かせてくれよ。お前さんがどんな人生歩んできたのかをな」

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