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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 5;緑綺星」
    緑綺星 第4部

    緑綺星・建国譚 2

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    シュウの話、第158話。
    ガラじゃない。

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    2.
    「な、なー、テンコちゃん、マジで俺が社長でいいのかよぉ。俺、はっきり言って算数もできねーバカなんだぜ? ガラじゃねーよぉ」
     高級スーツを身にまとったダニーが、困った顔で天狐に尋ねる。が、天狐は「しゃーねーだろ」と突っぱねる。
    「確かに数日前まではとりあえずロロが社長ってコトになってたが、アイツが大統領やるってなった以上、どっちもってワケにゃ行かねーだろーが。ソレともお前さんが大統領やんのか?」
    「い、いやいやいやいや無理無理無理無理! ……う~……じゃあやっぱ俺が社長やるしかねーのかぁ」
    「だろ? ……言っとくがこの話はもう6回目だぜ。コレ以上ゴネんな。この国最大の企業の顔になるヤツが、そんなシケたツラしてんじゃねーよ。
     安心しろって。経営上の問題があったらオレが相談に乗ってやる。カネの問題が出てもオレがハナシ付けてやる。お前さんが一人でやんのは部下全員のバランス取りくらいだ。今までだってファミリーのNo.2としてみんなの相談に乗ってたろ? ソレとやるコトは一緒だ」
    「ん~……まあ……そう言われたら……できる気がしてきたような」
    「だろ?」
     天狐はぽんぽんとダニーの背中を叩き、ニヤッと笑いかけた。
    「大体において取り返しのつかねー失敗して組織を破滅させるヤツってのは、一人で勝手に判断して勝手に行動するヤツだ。独裁者、三代目ワンマン社長、ガンコじじい、モラハラDV野郎、意識だけ高い系の無能、みんなそーだろ?
     だがお前さんは違う。心配性で素直だし、頼りになる相談役がココにいる。素直にオレの話聞いて慎重に判断すりゃ、下手打つコトはねーよ」
    「うーん……じゃあ……うん、頑張ってみるわ、俺」
    「よっしゃ、その意気だぜ。……ま、社長なのに勘定できねーってのはちょいと怖いから、勉強はボチボチやれよ? 算数ドリルからでいいから」
    「へぇーい……」

     一方、ロロはもっと高級なスーツを着た自分を鏡で眺めながら、ため息をついていた。
    「俺が大統領なんて、ガラじゃねえよ。今からでもダニーに任せらんねえかなぁ」
    「アハハ、その話6回目~」
     着替えを手伝ったラフィが後ろでゲラゲラ笑いながら、ロロの背中を叩く。
    「兄貴も同じこと、同じくらいグチってたし。ホント、先生と兄貴って似てるよね。マジの親子みたい」
    「そりゃ20年以上一緒に暮らしてんだから、似もするだろ。……まあ、俺が代わってくんねえかなって言ってるってことは、あいつも『親父に代わってくれ』って言ってんだろうな。……そう考えるとバカバカしいか。しゃあねえ、いい加減覚悟決めるか」
    「そーしてよ。1時間後に兄貴と一緒に会見だって、テンコちゃん言ってたし。あたしも一緒に出ることになってるし。先生と兄貴が揃ってアワアワしてたら、あたし恥ずかしいし」
    「それなんだがよ」
     たどたどしく髪を櫛で撫でつけながら、ロロは苦い顔をする。
    「俺とダニーは分かる。一応、大統領と社長だからな。テンコちゃんもここまで貢献してくれてたんだから、出るのは当然だ。だけどお前が来るのはなんでだ?」
    「ん~……大統領秘書?」
    「秘書ってガラかよ」
    「そりゃま、今は全然だけどねー」
     そう答えつつ、ラフィもロロの横で髪をまとめ始める。
    「でもテンコちゃん言ってたじゃん。『やるぞってハラ決めてやり出したら、どんな仕事だってサマになってくもんだ』って。じゃああたしも先生の秘書やるって決めたんだし、んじゃあたし、やれんじゃね?」
    「そう思うなら、まずは言葉遣いからだな。大統領秘書が『やれんじゃね』みたいなしゃべり方するかよ」
    「ん、ま、それはいずれ頑張るってことで」
    「しゃあねえな。……っと、ちょっとトイレ行ってくる」
    「いてら~」
     一人になったところで、ラフィも鏡に映った自分の姿を、まじまじと見つめた。
    「なるぞって思ったら、秘書にも、……大統領夫人にもなれんのかな、あたし」



     天狐によるカプリ共和国建国宣言の後、大統領とラコッカ石油社長とを交え、以下の声明が発表された。
     まず、かねてより央北の話題の中心となっていた巨大油田について、国際的協力の元で採掘と精製、販売を行うこと。また、この石油取引に関係する国々で「央北経済連合」、通称CNEUを設立すること。さらにCNEUに加盟する国家間で新たに通貨を発行し、「新央北」の経済圏からの脱却を図ること。そしてこの通貨の名称は一連の計画の中心人物である天狐の、トパーズを思わせる金と白の毛並みにちなみ、「トピー」とすること。
     また、この際に1トピー通貨の意匠も公開されたが――どうやらこれは、天狐に対する一種のサプライズでもあったらしく――そこに自分の肖像が使われているのを見た天狐は「ガラじゃねーなー」とつぶやき、顔を赤くしていた。
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