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    「双月千年世界 2;火紅狐」
    火紅狐 第3部

    火紅狐・猫姫記 2

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    フォコの話、99話目。
    四大軍閥。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    2.
     反乱軍を実質的に支配・掌握していたアルコンが消え、名実共にリーダーとなったイールは、フォコたち三人を快く迎え入れてくれた。
    「まあ、アルコンに指示されなくっても、今やあたしたちは四大軍閥の、最大の敵だもん。反乱軍は解散しないし、あたしたちはやるとこまでやるわよ」
    「それについて聞いておきたいんだけどさ」
     と、ランドが手を挙げる。
    「四大軍閥って、何なの?」
    「あ、そうよね。中央から来たって言ってたもんね。
     えっと、あんた頭良さそうだし、今この大陸がどんなことになってるかは、どのくらい知ってる?」
    「どうも。……僕が知る限り、王室政府と軍部との間に軋轢が生じていて、山間部・沿岸部の各拠点を中心にして、軍の重鎮たちが勝手な政治体制を敷いて、好き放題やってるくらい、かな」
    「そう、その通り。それだけ知ってれば話がしやすいわ。
     その重鎮、中でも特に強い影響力と、私情で動かせる軍隊を持ってるのが、ギジュン准将、イドゥン少将、スノッジ少将、ロドン中将の4人。こいつらが率いてるのを、四大軍閥って呼んでるのよ。
     他にもこいつら系列の小軍閥がゴロゴロしてて、大小合わせて10以上の軍閥がそれぞれ独断専横を決めてるのよ。もうほとんど、無政府状態もいいところね」
     話を聞き、フォコは腕を組んで「うーん……」とうなる。
    「ひどいですねぇ。何でそこまでなってて、王室政府は動き出さないんでしょうか? いくらなんでも、王室寄りの将軍だっているはずじゃ……?」
    「あんたこの国を、地図でしか見たこと無い口でしょ」
     イールにビシ、と鼻を指差され、フォコは口ごもる。
    「あ、はい、まあ」
    「標高差5000メートル。一日ヘトヘトになってようやく100万グラン稼ぐ人がいる一方で、あごでポイと命令するだけで十兆、二十兆グランを動かす奴もいるくらいの所得格差。
     軍の階級だって二等兵から一等兵、上等兵、伍長、軍曹、曹長、士官が准尉から大佐まで7階級、その上に准将、少将、中将、大将、司令に総司令と、全部合わせて22階級。
     この国の沿岸部と山間部の標高の格差は、そのまんま上と下の格差になってるのよ」
    「……な、なるほど」
    「その『標高差』が、この大陸で一番の問題なのよ。物資も交通も、通るところはガンガンに通ってるけど、通んないところは本当に通んないのよ、ここはね。
     昔、まだ他の大陸との交流が無い頃は、沿岸部の資源は魚だけだったし、山間部の肥沃な土地で取れる食糧は、そのまま山間部の強さにつながってたわ。
     でも貿易網の発達した今じゃ、その強さは逆転してきてるのよ。沿岸部は貿易で潤ってるし、山間部はその潤いを一割、二割、細々と吸ってる程度。しかもそれも、峠封鎖と軍閥の横取りで余計に細っていってる。
     それでも王室政府が持ってる鉱山から金銀は出るから何とかお金は発行できてるし、それで政治をギリギリ賄ってるけど、それを超える量のお金が沿岸部からドバドバ流れ込んでくるから、価値は無いも同然。
     このままじゃ王室も、王室付きの将軍も、共倒れになるでしょうね」
    「話を聞いてる感じだと、君は王室側なの?」
     そう尋ねたランドに、イールはぷるぷると首を振る。
    「違うわ。あたしたちは王室政府の、ある大臣さんの側に付いてるの。
     その人は王室に対して批判的な立場を執っているし、ゆくゆくはその人にこの国を統べさせたいと思ってるわ。
     ま、アルコンがいなくなった今だから、そう素直に言えるけど」
     ある大臣、と聞いてランドに直感が走る。
    「それ、もしかしてエルネスト・キルシュ卿かい?」
    「え? あんた、キルシュのおじいさんと知り合い?」
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    瓢箪から駒ですね。
    いいところで捕まったもんです。

    NoTitle 

    うまくころがってきたv-357
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