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    「双月千年世界 2;火紅狐」
    火紅狐 第3部

    火紅狐・猫姫記 3

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    フォコの話、100話目。
    フォコの叱咤。

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    3.
     ランドの事情を聞き、イールは深々とうなずいた。
    「なるほどねー……。元中央政府の大臣さん、ね。でもちょっと、頼ってくるにはタイミングが悪すぎたわね」
    「確かに。よりによって、峠封鎖で山間部が孤立している時に来てしまうなんて、運が悪いにもほどがあるよ」
    「とにかく、いくらあんたがキルシュじいさんと知り合いでも無理よ、会わせるのは。あたしたちだって、そう簡単に山を登ったり下りたりできる状態じゃないもの。
     実を言えば、あたしたちは密かに峠を一つ抑えてるの。だから山間部へ行くのは可能と言えば可能よ。だけど今はイドゥン軍閥と戦ってる最中だし、ここでこの砦を離れたら、勢力を盛り返されることもありうる。折角軍港を潰したのが無駄になっちゃうわ」
    「だよねぇ……」
     ランドは眼鏡を服の裾で拭きながら、ぽつりと漏らした。
    「じゃあどうしようかな……? 他に、頼れるところって言ったら……」
     その一言に、フォコは心の中で引っかかるものを感じた。
    「頼る、って何ですか?」
     フォコは思わず、そう尋ねてしまった。
    「え?」
    「ランドさん、何のためにこの国に来たんです?」
    「言ったじゃないか、キルシュ卿のところに匿ってもらって……」「それから?」
     続けてそう尋ねられ、ランドは肩をすくめる。
    「それも言ったはずだよ。態勢を立て直して、中央政府と……」「そんな偉そうなこと言うんやったら!」
     フォコはランドをキッとにらみ、こう怒鳴りつけた。
    「頼る頼るばっかり言ってたって仕方ないでしょう!? ランドさん、ずーっとそればっかりやないですか!
     タイカさん頼って、キルシュ卿頼って、イールさん頼ってって、自分は結局口しか出してないやないですか!」
    「……それは、まあ」
    「何で自分で頑張ろうとせえへんのですか! 口だけ出しとって、自分は十分頑張りましたー、って言えますか!?
     そんなん『やった』って言いませんで! 血も汗も流さんと、他人にわーわー言うて唾撒き散らしとるだけやないですか! 汚いわ、そんなん!」
    「う……」
     思わぬ攻撃に、流石のランドも言葉を失ってしまう。
    「『やる』『やる』て口で言うだけやったら誰にでもできますで!? 『やる』言うんやったら、ちょっとは自分でどうにかしようとせなあきませんよ!」
    「……」
     ランドは黙り込み、そのまま座り込んだ。
    「……イールさん」
     フォコは呆気に取られていたイールに声をかける。
    「は、はい? ……あ、うん、何?」
    「僕、協力させてもらいます」
    「え? あたしたちに?」
    「はい。僕も格差がひどく、強者が弱者をいじめる世界で暮らしてた経験があります。そこで見てきた仕打ちは、本当にひどかった。
     ここでまた、同じことが起こってる。それを知っておいて、そんなのを黙って見ているほど、僕は冷淡でも臆病でも無いです」
    「……ありがとう。協力してくれるって言うなら、とっても助かるわ」
     イールはぺこりと頭を下げ、フォコを歓迎した。
     と、渋い顔をしていたランドがようやく口を開く。
    「僕も協力するよ」
    「ランドさん」
     ランドはフォコに顔を向け、困ったような笑顔を向ける。
    「確かに君の言う通りだ。僕は口出ししかしてない。それで中央政府を倒そうなんて、虫が良すぎる話だ。
     僕にも何かさせてくれないか、イール?」
     真摯な顔を向けてきたランドを見て、イールはうれしそうに微笑み返した。
    「……ありがとう。2人も協力してくれる人が増えるなんて、大歓迎よ」
    「2人? ……あ、そうか」
     ランドは大火に向き直り、尋ねてみた。
    「タイカ、君は協力してくれるかい?」
    「ああ、吝かではない」
    「これで3人だ。特にタイカは一騎当千の腕を持ってる。役に立つ人材だよ」
    「よろしくね、みんな」
     イールは深々と、三人に頭を下げた。


    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    ついに100話到達。
    夏からののんびりしたペースでの進行でしたが、順調に進めて行けてほっとしています。
    大体物語の方向性も固まってきたので、順次キャラ紹介なども行っていく予定です。
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    NoTitle 

    これからですね。

    NoTitle 

    ついに反撃開始やでv-392
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