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    「双月千年世界 2;火紅狐」
    火紅狐 第3部

    火紅狐・創星記 1

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    フォコの話、110話目。
    活気付く、新しい国。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
    「そうか」
     自分たちの本拠地から追い出され、その窮状を訴えてきたロドン将軍たちの話を聞き終えたノルド国王、虎獣人のバトラー・ノルドはそれだけ言って返した。
    「そうか、ではございません! すぐに兵を集め、反乱軍と逆臣キルシュを皆殺しに……!」
    「ああ、うむ」
     猛々しく怒鳴り散らすロドン将軍に対し、バトラー王はぼんやりした返事を返すばかりだった。
    「聞いておりますか、陛下ッ!」
    「うむ。聞いている、が……」
     バトラー王は眉をひそめ、ロドンにこう返した。
    「3つの理由から、それは延期せざるを得ないのだ」
    「なんですか、その理由とは!?」
    「一つ、我が国の国庫はいつも通りの緊縮財政にあり、余計な挙兵はできぬ」
    「余計ですと!? 領土が奪われたのですぞ!?」
    「二つ、その奪われた領土は元々将軍、お前が私物化していたではないか。取り返さずとも、余にとっては今まで通りと言うことだ」
    「う……、ぬ」
    「そして三つ、その領土と資産を奪われたお前に、利用価値なぞない。最早将軍として飼っておく理由はない。ゆえに、お前に手を貸す気はさらさら無い。
     即刻、去れ」
    「なんと……! それはあんまりではないですか!」
     そう叫んだロドン将軍に、バトラー王が怒鳴り返した。
    「『あんまり』、だと!? その言葉、余が何度お前に投げかけたか覚えているのか!?
     貸し与えた領土を私物化した時も! ギジュン准将やスノッジ少将らと共謀し、ノルド峠へ勝手に関所を作って通行料を徴発し始めた時も!
     さらには得た利益を我が国へろくに献上せず、ぬけぬけと懐に蓄えた時も! 余は何度も何度も、『それはあんまりであろう』と諌めたであろう! そしてお前は、それらすべてにのらりくらりと言い訳を立てて誤魔化し、無視を通したではないかッ!
     それが何だ、いざ自分が窮地に陥ったら、恥も外聞もなく助けを乞うのか、仮にも将軍の地位にあった者が!? 恥を知れ、恥をッ!
     もうお前の顔なぞ見たくもない! 去らねばここで、その猪首をはねるぞッ!」
    「……う、ぐうう」
     これ以上嘆願は無駄と悟ったのか、ロドン将軍はすごすごと謁見の間を離れていった。
    「……ふう」
     ロドン将軍が消えたところで、バトラー王は玉座にしなだれかかる。
    「金はない、将も兵もろくに言うことを聞かぬ、さらにはキルシュ卿の離反と別の王朝の台頭、か。窮地などと言う言葉では、足らぬ足らぬ」
     バトラー王は頭を抱え、ぼそ、とつぶやいた。
    「……俺には分からん。この先どうすれば、この全てを解決できるか」



     ノルド王国とは対照的に、ジーン王国は活気づいていた。
    「さーさー安いよ安いよ、塩湖で取れた塩だよ、肉の臭み取りと味付けには持って来いだよ!」
    「北の狩場で今朝獲ったばっかり! 新鮮な兎肉! 食べなきゃ力付かないよー!」
    「これであんたも今日から狩人! この弓さえあれば、獲物が狩り放題だ!」
     元々、ミラーフィールド塩湖周辺の土は栄養分が豊富であり、動植物が多かった。そして塩湖自身も、良質の塩を産出している。土地の面で言えば、かなり恵まれていたのだ。
     そして軍閥を挙げて独断専横を行っていたロドン将軍が消えた今、あちこちから人が集まりつつあった。
    「とは言え、税率はかなり高くしないと、追いつかないでしょうね」
     フォコは街の活気を砦の窓から眺めながら、キルシュ卿と財政の相談をしていた。
    「うむ……。折角集まってくれた皆には重荷になるかも知れん。しかし、我々の国庫もそう潤沢ではないからな」
     ロドン将軍の資産を丸ごと手に入れた王国だったが、あくまでも一将軍が贅沢できる程度の資産である。国家予算として見れば到底、足りる額では無かった。
     そのため、資金の確保を急がねばならなかったが――。
    「王室政府が十分回転できるくらいの額を一年で徴収するとなったら、商業税は多分30%以上、住民税も40%近くに設定しないといけませんが……」
    「それは無理だろう。折角集まった民が、悲鳴を上げて逃げてしまう」
    「現実的に見れば、10%が限界ですよね。……となると、活動が十分にできるまで、4年はかかる計算になりますね」
    「もっとかかるだろう。その間、収支も変動するだろうし、今は貧窮しているノルド王国も、いつ攻めに入るか分からんからな」
    「ともかく、早くお金を貯めないと。それが第一の課題ですね」
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    NoTitle 

    あの程度の寸借詐欺では到底賄えません。

    NoTitle 

    e-57砂のお金詐欺で儲けよう!
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